ダニーの話し私はとても恥ずかしかった。ドニーとディアドラから子供が生まれたと知らせを受けた時、ふたりとも同じ男性の子を産んだのだと思った。ディアドラはアドキンズという苗字に変わっていたが、ドニーはマーティンのままだった。他にどう考えればつじつまが合うだろう? アーティと私の間には子供ができない。ふたりともあらゆることを試した。精子提供者までも試してみた。原因は彼ではなく、私だった。私も他の双子たちと同じなのだ。妊娠するのが非常に難しい体質をしているらしい。医者は、私もアーティもどちらにも問題を見つけられなかった。医者はリラックスしてみればと言うだけだった。 リラックスするというのは、私にとっていちばん難しいことだ。私は従姉妹に手紙を書き、率直に、彼女たちのご主人を私に貸してと頼んだ。彼に違いない。彼は同時に双子を妊娠させることができる特別な何かを持っているに違いない。そういうことが起きたなんて、初めて聞いたことだった。 というわけで、私は従姉妹たちの家のリビング・ルームに座っていた。従姉妹たちがプランテーションに住んでいたとは! 古いけど、とても素敵。ふたりはこの家がまともに住めるようになるまで3年かかったと言った。 ふたりとも、ご主人のアンドリューに私を妊娠させる試みをさせるつもりでいる。アーティはとても良い理解者だった。私は、原因が私であって彼にあるのではない、それが真実だと伝えた。アーティは機構のことを知っている。双子たちのことも。私たち夫婦は、私の姉のドリーの家の隣に住んでいる。私もドリーも離れることができないのだ。アーティは、ドリーが妊娠するまで大変な時間がかかったことを知っている。でも、私の場合はそれが無理じゃないかと、そんな気がしてきていたのだった。 というわけで私はここにいて、私の子供たちの父親になるかもしれない男性と会おうとしている。これが私とアーティにとってどんなに屈辱的なことであっても、どうしても、このチャンスをつかみたかった。 ドニーがアンドリューを呼びに行った。私はドキドキしていた。怖かった。会ったこともない男性とベッドを共にしようとしている。自分がある種の売春婦になったような気がする。 そして、彼が部屋に入ってきた。まあ、ハンサムな人じゃない? 背が高く、すらりとして、ゴージャスな人! アーティはアンドリューにこれからも会わない方が良いと思った。アンドリューを見るまでは、会っても、私には反応―つまり性的な反応だけど―それができないのではないかと心配していた。でもそれは間違いだった。こんなセクシーな人を見たことがない。とても若いし! 彼は何歳なんだろう? ドニーとディアドラは、どうやって、こんな良い男を陥落させたの? 互いに紹介されるまでは、彼は緊張していたように見えた。でも、その後、彼はにっこり笑った。脚から力が抜けそうになるのを感じた。彼の眼はとても深くて綺麗。彼の手はとても温かくて、力強い。あそこが湿ってきてるのを感じた。彼と握手しただけなのに。 この最初の回で成功しなかったら、成功するまで繰り返したいと思った。そういうふうにアーティに言おう。私は気が変になってきてるに違いない。 アンドリューはふたりの奥さんたちにキスをし、その後、私の腕を取って、寝室へ案内した。ドアを閉じ、私が感じてると彼が思っている不安感を紛らわそうとしてくれた。
「…お、大きな声を上げて、ごめんよ。でも、とても辛いんだ。こ、この結婚生活がどんどん悪い方向になっていくのを見るのは。そ、それに、君が着飾って、あいつらと出かけていくのを見ると、本当に心が痛む。さ、最悪なのは、き、君が出かける支度を僕に手伝わせること。あ、あいつらのために君を美しく見せる仕事を、こ、この僕がしなくちゃいけないことなんだよ」 ジェイムズはしわがれた声で言った。今にも泣き出しそうな声だった。 「まあ、まあ…。泣くのはやめて」 とジルは、従属化され恥辱を味わわされている夫の隣に座り、優しく抱いた。 「…少しでも気が晴れるなら教えてあげるけど、そうねえ、ある意味、私たちの頭上に垂れこめている、この黒い雲の向こうから、明るい光が差しかかってきてるのよ」 「ほ、ほんとに?」 ジェームズは、かすかに希望を期待する顔になった。 「ええ。ねえ、あなた?…… このことを直ちに受け入れてくれたらうれしいんだけど……」 「何だい。言ってくれ」 「分かったわ。多分、打ち明けて、胸の中から出してしまった方が良いと思ったんだけど。あのね、ジェームズ? あの夜、私たちが誘拐されて、レイプされたでしょう? あの夜から、どれだけ時間が流れたか…。もう一年以上になるわ。光陰矢のごとしね。ともかく、それでね? 私…、あなたにお願いしようと思ったの。しばらく別れて住まない? って。私が本当にあなたを愛してるか確かめるために」 「な、何だって?」 「いえ、私、本気よ。だって、あなた? 私、あのレイプの時まで、自分の人生で何が足りないのかはっきり分かっていなかったんですもの。何かが足りない、その何かを探し出せる小さな場所が欲しかったの。そんな時、あの人たちにレイプされたわ。そして今まであの人たちにいろんなことをされてきた。今の私は、これ以上ないってほどに充実して満足した気持ちでいるの。あなたにも分かるでしょう? 私はリロイや彼の黒人のお友達が私にしてくれているようなセックスが必要だったのよ。それが欠けていたの。今ほど、自分が女であることをはっきりと感じられたことなかったわ…」 「…それと同時に、あなたと二人でいろいろされられてきたわけでしょう? そのために、かえって、私は、あなたのことを本当に愛しているのだわって分かったの。レイプ事件の前でも、あなたの舌使いは良かったわ。でも、今は、前よりずっといいの。しょっちゅう逞しい黒人男4人のお世話をしなければいけないでしょ? それに加えてあなたの素敵な舌。私、世界一幸せになってる気持ちだわ」 ジルはそう言ってジェームズの頬にチュッとキスをした。ジェームズは雷に打たれたかのように動かず、無言で座っていた。実際、彼は雷に打たれたと言ってよい。たった今、耳にした雷鳴のごとき妻の言葉に、彼は言葉を失い、柔肌の美しい妻の隣、ただじっと座っているだけだった。 彼が無言のままいる間、彼の妻は話し続けた。毎晩のごとく、リロイ、ハンク、ネイト、ランスとデートに出かけ、時には彼らの友人たちも喜ばせなければならないことが、本当は彼女にとって悲しいことではないことを。 「…それにね、あなた? こんなことを言うとわがままだって思われるのは分かってるんだけど、私があの人たちやあの人たちのお友達と遊びに出ている間、あなたが家にいて、私への愛を忠実に守っていると思うと、とても嬉しいの。あの人たち、あなたに私ともっとやらせるつもりはないって言ってるでしょ? それを聞くと、ちょっと可哀想って思うのよ。でも、あの人たちのおちんちんがあなたのよりずっとずっと大きいのは確かで、そのために私のあそこもすごくユルユルにされてしまっているでしょう? だから、あなたにとっては、今までのように自分でする方が気持ちいいかもしれないのよ」 「わ、分かるけど…」 ジェイムズはようやく口を開いたが、言えたことはそれだけだった。妻は自分を傷つけようとしているわけではないことは分かっていても、実際には、彼は傷ついていた。ジェームズは、打ちひしがれ、多くは言えなかった。 「ぼ、僕もまだ君を愛しているよ、じ、ジル…。で、でも僕には今のような状態がいつまで続くのか、いつまで僕がもつか分からないんだよ。と、とっても辛くて…」 「でもあなた? 他に方法があるの? 下手なことをしたら、あの人たち、写真やビデオをあなたの職場に送ると思うわ。あなた、ダメよ。このまま、あの人たちに支配されていなければいけないの。この状態を、私ほどはあなたが楽しんでいないのは、私にもわかる。でもね、本当に私のことを愛しているなら、今まで以上に、この状態に合わせられるようにならなくちゃいけないわ」
持っていた携帯用のKYゼリーを急いで全部すぼまった穴にすりこんだ。ダニエルの求めで、私はベッドの端に覆いかぶさり、両手で身体を支えた。彼は私の唾液で濡れたペニスを私の入り口に押し当てた。するりと中に滑り込んでくる。 私は、それが入ってくるのを感じながら目を大きく見開いた。ダイアナのが大きいと言うなら、ダニエルのは巨大と言えた。彼は私をプロの娼婦のように扱った。獣のような情熱で、私のあそこを激しくえぐり続けた。 あまり時間はかからなかった―彼にとっても、私にとっても。 ダニエルが身体をこわばらせるのを感じた。ペニスもいっそう固くなるのを感じた。 彼は私の腰を両手で押さえ、ぐいっぐいっと繰り返し私の身体を彼の鋼鉄の棒へと引き寄せた。遠くの方から、女の子が叫んでいるのがかすかに聞こえた。 「ヤッテ、もっと! 淫乱女なの、私! この身体、好きに使って! 中に出してね! 安っぽい商売女なんだから、好き放題に使っていいのよ! ただのスペルマの捨て場所と思っていいの。あなたの熱いのを中に! 今夜、ずっとこれをしてほしかったの。だから、いっぱいやって! もっと強く! めちゃくちゃにして!」 薄い被膜を通してだけど、彼の肉棒がホースのように噴射するのを感じた。そして、それが引き金となって、私にもオーガズムが襲いかかってきた。私の周りの世界ががくがくと揺れ、何100万個もの小さな破片となって粉々に砕けていく。雷のような轟音が耳にこだました。頭からつま先まで、身体全体がヒクヒクと痙攣した。 ばらばらになった精神の破片をひとつひとつ集め、元通りにするのに、長い、長い時間がかかった。破片の一部は、決して、元通りにならないだろうと思った。 ダニエルが起き上がり、ズボンのチャックを上げる音が聞こえた。その間、私はハアハアと喘ぎながら、ベッドに突っ伏したままだった。時々、発作的に身体がぶるぶると震える。彼が、ありがとうと言い、部屋を出ていく音も聞こえたが、その時になっても、動けずにいた。 やがて次第に身体と心が元に戻り始めたが、その時になって、さっきの女の子の声―ダニエルに、やって、身体を使ってと叫んでいた声―が自分の声だと分かった。あの女の子の言葉、あの淫らな叫び、あれは私の声だったのだ。いったい何が私に? いつものことだけど、ダイアナの教えは正しかった。コンドームは欠かせなかったのだ。私が出した量は、ダニエルが放出した量には及ばなかったが、それでも、つけておいていて正解だった。コンドームの利点は、まわりを汚さずに済むことも当然だけど、事後の処理の容易さもある。ダニエルのをペーパータオルでつかんでゴミ箱に捨て、自分のも同じように捨てた。それから自分の身体をチェックし、ベッドに染みがついてないか確かめた。 それから乱れ切った服装を直し、お化粧を整え、後で使う人のことを考え、シーツや枕を元通りに直した。 最後に部屋をもう一度眺め、ここが私が本物の男にバージンを奪われた場所ねと最後のお別れをしてから、元気よくドアを出た。
トリスタが俺の肩から顔を上げ、俺は彼女の頬に優しくキスをした。見つめあい、再び唇を重ね、長い官能的なキスをした。 「もう、君は『良い子』じゃなくなったね」 と俺は微笑み、彼女の胸と尻から手を離した。 トリスタも微笑み、俺の頬へ再び顔を寄せた。 「とても気持ちよかったわ」 と俺の背中を撫でながら言う。 「ああ」 俺も彼女の背中を優しく撫でた。 「ちょっと秘密にしていたことがあるのよ」 とトリスタは顔を戻し、俺の目を覗きこんで言った。 「え、何?」 と俺はまた両手を彼女のお尻に添えた。 「ちょっと恥ずかしいんだけど…」 とシャツの中に手を入れ、乳房をブラジャーの中に戻しながら言った。 「話して」 俺は彼女の美しい緑色の瞳を覗きこんだ。 「誰にも言わないって、約束して」 と小さな声で言う。 「心臓を引き裂いて殺しても、目に針を刺してもいいよ」 と俺は小さく笑った。 「私ね、まだバージンなの」 と俺の胸板に顔を埋め、小さな声で彼女は言った。 「ああ、そんなこと、全然恥ずかしいことじゃないよ」 と俺は彼女の背中を撫でながら優しく言った。 「素敵なことじゃないか」 トリスタは顔を上げ、俺の目を覗きこんだ。「でも、自分で慰めることはしているの」 それを聞いた瞬間、息が詰まりそうになった。 彼女は再び俺の目を覗きこんで、続けた。 「こんなこと話したのは、ジャスティン、あなただけ。だって、あなたのことが本当に、本当に好きだから…」 そして彼女は再び俺の胸に顔を埋めた。 「…私ね、ときどきポルノ映画をレンタルしてきて、どういうふうにするのか勉強しているの」 「本当?」 驚きすぎて、ほとんど言葉が出せない。 「そんなことするなんて、私はダメな人間だわ」 と彼女は小さな声で言った。 「違うよ、そんなことはないよ。僕だって同じことをするさ」 それから俺とトリスタは、抱き合ったまま、何も話さず座っていた。そうしているのが、本当に自然なことのように感じられた。この感じ、いつまでも続いていてほしい。 「そろそろ行かなくちゃ。お父さんとお母さんが探しに来る前に」 とトリスタは身体を起こし、俺の膝の上から降りた。 彼女に助けられて俺も立ち上がった後、もう一度、抱き合い、最後のキスをした。そしてワイン室のドアを出た。 トリスタはドアを閉め、俺を案内しながら、暗い廊下を進み、メインの地下室に戻った。さらにそこのドアをすぎ、1階に上がる階段へと進んだ。
「ライジング・サン&モーニング・カーム」 第4章 The Rising Sun & The Morning Calm Ch. 04 byvinkb *****
これまでのあらすじ
1587年、釜山。地元の娘ジウンは日本から来た偵察のノボルと知り合い、ふたりは結ばれた。しかし翌朝、ノボルの弟三郎たちにジウンは強姦され、彼女は自害した。ノボルは怒りに兵を殺すが拘束され、秀吉に不死の刑を科される。ある山奥でノボルは狐使いの美女と交わり、その結果、自分が人間ではなくなるのを見つつ意識を失った。時代は変わり現代。シカゴ。女医のアンジェラはたまたま入ったレストランで不思議な魅力があるノブ(ノボル)と知り合い、デートに誘われた。
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こんなにドキドキするのはしばらくなかったわ…。 そう思いながらアンジェラはノブの家のドアをノックした。両手でスカートを軽く払った。猫の毛がスカートのマット・ジャージ( 参考)の生地にしつこくくっついているのを見て、顔をしかめた。…あ、そうだ。彼に猫アレルギーかどうか訊くのを忘れていたわ。 だが、アンジェラが困った顔をする前に、ドアが開き、ノブが歓迎の表情をして彼女を迎えた。アンジェラは、一時ではあったが、この時も彼の眼の色に驚き茫然としてしまった。 「あっ、こんばんは」 ふと気がついて、彼女は思わず甲高い声になっていた。 ノブは横によけ、彼女に中に入るよう手招きした。 「オハイリナサイ[原文Okari nasai]…」 温かい声で言う。「その意味は…」 「ようこそ、ね」 とアンジェラが代わりに答えた。 アンジェラは、今度は彼が驚く顔をする番になったことを喜び、もう一手、攻めることにした。「シツレイシマス[Shistore-shimase]」 「どうして日本語を知ってるのですか?」 とノブは驚いた顔で彼女を見た。 アンジェラは、彼の驚きを面白がりながら、笑い出すのをこらえた。 「さっき言ったでしょう? 私は黒澤映画をたくさん見ているの。アニメも。あ、それからゲームもたくさんするわ」 そう言って、ちょっと黙り、ハイヒールを脱ぐために腰をかがめた。アンジェラはノブの視線を感じた。 「キレイデス[Kirei-desho]」 と彼は褒め、うっとりするような眼でアンジェラを見た。 「ドモ[Domo]、ノブさん」 彼女はノブにそう言われて、ドキドキするのを感じた。そして、落ち着きを取り戻そうと、彼のコンドミニアムの中を見回した。広いスペースで二層になっている。床から天井までの大きな窓があり、ミシガン湖とミレニアム・パーク( 参考)の素晴らしい眺めを提供している。 部屋は趣味がよく、ミニマリスト的( 参考)日本風装飾がなされていた。注文で作らせたと思われる大理石製の滝があり、そこからの柔らかな音のおかげで、部屋の雰囲気がとても癒される。 アンジェラはこの部屋に招かれ、とても特別扱いされている感じがした。 「お天気のいい日には、ここからの眺めはさぞかし素晴らしいでしょうね」 「ええ、とても美しいですよ」 とノブは彼女を見つめたまま返事した。「是非、もっと天気の良い日にも来てください。ご自分で見てみるといいですよ」
「どう? 気持ちいい?」 とジェイソンが訊いた。気がつくと、ジェイソンはわたしの肩を揉んでいた。 すぐに息子の方を見たけど、息子はジーナにすり寄っていて、わたしには関心を持っていないみたい。 「ええ、ほんとに。誰かに肩を揉まれるの久しぶりだわ」 ジェイソンはわたしの肩にマッサージを続けていたけど、だんだん下の方に手が降りてくる。いまは、指先がわたしの胸の上のところうかがうところまで来ていた。周りを見回したら、息子はジーナにキスをしてるし、スティーブとエレーンはおしゃべりに夢中のよう。わたしは、ジェイソンの手を止めることはしなかった。ますます下に降りてくる。 そして、とうとう、ジェイソンの手がわたしの胸を覆っているのを感じた。両手で。指をビキニの生地の下に潜り込ませてくる。乳首に触れた。 何だかわたしのまわりで世界がグルグル回ってる感じ。何が起きてるかはっきり認識できない。 ジェイソンに乳首をつねられた。ああん、と小さく声が出た。マリファナのせいね…、そのせいで、わたし、ジェイソンにこんなことまでさせちゃっている。でも…… 「いや! 私しないわ!」 みんながいっせいにエレーンの方を見た。彼女は真っ赤な顔をしてスティーブを睨みつけている。ジェイソンがさっとわたしの胸から手を離すのを感じた。 「おい、みんな、どうやら、もう一服吸った方が良さそうだな」 ジェイソンの言葉にみんなが笑った。ジェイソンはズボンに手を伸ばした。 「いや、もういいんじゃない? これで十分よ」 とジーナが言った。「何かゲームか何かしたほうがいいかも。みんなもっとリラックスしたほうが良さそうだから」 息子がわたしの横にやってきた。 「ママ、大丈夫?」 「ええ、大丈夫よ。楽しんでるわ」 息子はジーナにもっと何かしたがっているようで、彼女のことばかり見ている。息子が、わたしだけでなくて、他の女の子にも興味を持っているのを知って、ちょっと嬉しかった。 「ジーナ、トミーのこと好きなんじゃない? 彼女のそばに行ったらどう?」 とわたしは息子に囁いた。 「本当? いいかなあ? ママだけが仲間外れにされたような気持ちになってほしくないんだけど、大丈夫?」 「あら、心配しないで。その点は大丈夫だから。うふふ」 とわたしは息子の背中を軽く押した。 息子はさっそくジーナの方へ寄っていき、代わりにジェイソンがまたわたしに近づいてきた。びっくりした。だって、また新しいマリファナを出して、手に持っていたから。 「オーケー、みんな、こいつをもう一服しなきゃダメだな。これは高級品なんだぜ」 とジェイソンが笑って言った。 ジェイソンは火をつけて、大きく吸ってわたしに渡した。もうこの頃にはすっかりくつろいでいたし、さっき吸ったマリファナはわたしに全然、何もしなかった感じだったので、今回は大きく吸って、長い間、肺の中に止めておいた。 そして十分時間を置いてから、ふーっと吐き出した。そのとたん、もう目の前がクルクル。これがマリファナの効果? 初めて、その効果を感じた。 ジェイソンはいったんバスタブから出て、何か音楽をかけた。回し吸いしていたマリファナは、最後にエレーンのところに順番が来ていた。でも、彼女は吸いたくないと思ってるのが分かる。スティーブはしつこく彼女の口元に押し付けようとしてたけど、そのたびにエレーンは彼の手を払いのけていた。 「スティーブ、ねえ、わたしにさせてみて」 とわたしはエレーン達の方に動きながら言った。 移動するとき、身体を起こしたから、胸がお湯から出ていた。気がつくと、スティーブもエレーンもわたしの胸の所をじっと見ていた。えっ?と思ってうつむくと、乳首を覆っていた小さな白い布がすっかり透明になっていて、わたしの濃い色の乳首がみんなに丸見えに! その時すぐに隠すべきだったともう。でもマリファナのせいか、これでも大丈夫かなって思っていた。 「さあ、わたしと一緒に吸わない?」 とわたしはエレーンの隣に座った。 彼女はずっとわたしの胸を見たまま。まるで近くで見ているうちに催眠術にかけられてしまったみたいに、じっとわたしのおっぱいを見つめている。 わたしはマリファナを受け取って、軽く一服吸った。 「ね? 何でもないわ、タバコみたいに吸えばいいの」 エレーンはわたしに近寄ってきた。彼女の脚が私の脚に触れている。エレーンはあどけない目でわたしを見上げた。わたしは彼女に顔を寄せ、唇にマリファナをあてがった。すーっと吸って、しばらく肺にとめている。気がつくと、彼女の肩先がわたしの乳房に触れていて、サワサワと擦っていた。そのため、知らぬ前に乳首が固くなっている。
アンナは僕の前に進み、僕はその後に続いた。彼女は、過剰に腰を振りながら歩いていた。意識的に腰を振っているようにすら見えた。僕には、アンナは実にいいお尻の形をしていると思われたし、その長い脚も相まって、後ろをついて行く僕には素晴らしい眺めだった。 皮製品のコーナーを過ぎ、多数のメイド服が置いてあるコーナーへと入った。アンナは、そこで止まり、僕の方を振りむいた。 「御覧の通り、うちにはメイド服を多数セレクトしてあります。それで、あなたの…、あ、いや、あなたのガールフレンドの服のサイズをお教えいただけますか?」 「ええ、彼女はたいていの服ではサイズ5を着てるんです」 もちろん、そのサイズは僕の服のサイズだった。 アンナは笑顔で言った。「ということは、あなたと同じサイズなんですか?」 僕は頷いた。 「何か特別なスタイルのものをお探しなのでしょうか? それともバレンタインデーのためのものでしょうか?」 「バレンタインデーのためです。彼女はたぶんその日限りで、後は着ないと思うから」 「まあ、お優しいのね。たまたま、バレンタインデーにぴったりの可愛い服が入ったところなんですよ」 アンナは、コスチュームの棚を探し、中から一着、取りだした。 「これです。それにサイズも、ちょうどお求めのサイズ5」 そのメイド服は、さくらんぼ色のサテンでできていた。白いレース製のハート形のエプロンがついている。襟の周りと短い袖のそで口にレース飾りがついていた。スカートはミニというより、マイクロと言ったほうが正確で、スカートの中には固いクリノリン( 参考)が数層、備わっている。とてもセクシーそうに見え、僕はただちにそれを買うと伝えた。 アンナはまた笑顔になった。 「お好きになると思っていましたわ。では、ちょっと試着してみませんか? あ、そうでした。ごめんなさい、あなたのガールフレンドのためのものでしたね? うちには、ご自分のために可愛い服を買っていかれる男性のお客様もたくさんいらっしゃるものですから、つい。ごめんなさいね。うちが異性装関係を扱っているのを、ご存じでしょう?」 「それは聞いたことがあります。でも僕はそれとは違いますから」 と言ったものの、アンナはこのメイド服は僕のためのものとすでに知っているような気がしてきていた。 彼女は訳を知ってるような笑みを浮かべた。 「もちろん、お客様は違いますわよね」 そしてメイド服を見て続けた。「私なら、福に125ドル払う前に、一度試着してみたいと言うと思いますわ。だって、バレンタインデーのサプライズとして用意したのに、全然似合わなかったら最悪ですもの。そうなったら、せっかくのバレンタインデーが台無しになってしまうと思いませんか?」 もちろんアンナが言うことは正しかった。家に持ち帰った後になって、服が似合わず、アンジーを驚かすことができないとなったら困る。どうして、ギリギリの前日まで先延ばししてしまったのだろうと、自分を罵った。もう数日前にこの店に来ていたら、家に持ち帰って試着し、似合うかどうか試せたのに。もちろん、そのことはアンナには話さなかった。 アンナは、まるでたった今、思いついたかのように、こう言った。 「どうやらあなたとあなたのガールフレンドは全く同じサイズのように思いますわ。うちにはたくさん男性客もいらっしゃいますので、私はそのサイズ調節がとても得意なんです。あなたとあなたのガールフレンドは、同じ服を着れると思いますよ。たとえば、ガールフレンドさんのジーンズを自分のジーンズ代わりに履いたこととかありませんか?」 僕は、メイド服を試着する方法として、彼女のアイデアに飛びついた。「ええ、何度かあります」 アンナは再び満面の笑顔になった。「それなら、サイズ的には合うかどうか確かめられますわよ」 僕が頷いた。 「良かった。では、そのメイド服を試着室に持って行って、試着してみてください。ちゃんと合うようでしたら、お客様のガールフレンドにも合うこと、請け合いです」 「どうかなあ…。誰かに見られたらどうなるの?」 と不安げな声で訊いた。だけど、内心では、ぜひアンナが言うとおりに試着してみたいと思っていた。 アンナは服を僕に渡しながら言った。「ぜひ、試着してみください。もっと言えば、試着していただくまでは、売るつもりはございませんから」 僕がコスチュームを受け取ると、アンナは僕の背中を押すようにして試着室に連れて行った。
アンドリューを呼び出すと、嫌そうに仕事をやめ、リビングルームに来て私たちに加わった。私は、彼が入ってくるとき、密かにダニーの様子を見ていた。彼女が、明らかに7歳か8歳は若いアンドリューを見た瞬間、目を大きく見開くのが見えた。アンドリューは背が高く、痩せ形である。その深く濃い瞳は、人を見通すような力を持っている。彼を見た女性は、必ず、もう一度ふり返って彼を見る。彼はそれほど美しい。 ドニーが、アンドリューとダニーを互いに紹介した。握手の時、アンドリューはダニーの手に恐る恐る手を伸ばした。まるで毒に触れようとしているみたいに。でも、ダニーは喜んで彼の手を握った。そして、その瞬間、アンドリューの目が輝くのが見えた。何か安堵したような表情。 私には分かった! アンドリューは自分の反応を恐れていたのだ。この人のことは、私とドニーにはすっかり透明になっているように良く分かる。彼は、ダニーに触れた時に自分がどう反応するかを恐れていたのだが、まったく反応しなかったということなのだ。そして彼は安心した。私も安心していた。彼は私たちだけのものと分かったから。彼の心の中、アンドリューは私たちのものなのだ。その他のことはすべて、ただの家事にすぎないのだ。 アンドリューの話しというわけで、とうとう、こんな忌々しい事態になってしまった。これから抜け出す方法は、一つしかない。 妻たちは、ご親切にも、僕の喉にシャンパンを無理やり押し込むという方法で、車輪に油をちょっとだけ注いでくれた。確かに、これは僕をリラックスさせる確実な方法だ。だが、これから、僕は雇われジゴロのような役をしなければならないのである。そんなことしたいと思っていないのに。あまり。 このダニーという女性は、ルックスが悪いわけではない。ディ・ディやドニーの身内だけあって、似ているところはある。そのおかげで、多少は楽になるだろう。 それにしても、ダニーと握手した時はほっとした。何も起こらなかった。ふたりの指先に火花が飛び散ることも、彼女の目がキラリと光ることもなかった。ダニーは、ただの可愛い女性にすぎない。可愛いが、ジョアン・ウッドワード的なところはあまりない。 かなり気まずい雰囲気だった。みんなで座ってシャンパンを飲んでいる。僕の愛する妻たちと僕と、そして数分すれば僕がしゃにむに犯さなくてはならないこの女性の4人。売春宿にいる娼婦がどんな気持ちになるか、僕にも分かる気がした。 ディ・ディとドニーの反応の方は興味深かった。ディ・ディの方は、ただ心配しているだけのようだった。すべてがうまく収まり、この体験がダニーと僕にとって快適なものであって欲しいと、それだけを気にしている。一方、ドニーの方は、実際、乗り気になっているように見えた。多分、こういう状況そのものが彼女を性的に興奮させていたのではないかと思う。ドニーはヌルヌルの二発目( 参考)を期待しているのだろうか? 我が家には来客用の寝室がある。これは、僕の母親に遊びに来るよう説得できたときに限られるが、母親が泊まるときに使う寝室である。使うにしても、年に1回くらいだ。ディ・ディとドニーの両親は1時間半くらいで行けるところに住んでいるので、泊まっていくことはない。 この部屋は、「アンドリューにヤッテもらう」公式部屋になるのだろう。ワインを飲み干した後、もう数分おしゃべりをして、互いにもう少し知り合った。そして、とうとう、もはやこれ以上先送りする口実が尽きてしまう時が来た。それに加えて、僕は、理性に反して、確かに少しエッチな気持ちになってきていたのだった。 状況に居心地悪さを感じているからといって、さらにベッド内でのパートナーとして心から僕の妻たちしか望んでいないからといって、僕の身体が、これから起こる出来事に対して反応できないということにはならない。僕の頭は別として、僕の身体の方は、これからヤルことになるという予定をちゃんと知っているのである。もう少し経てば、僕の身体は、これからヤレルぞと思い始めるだろう。僕の性生活は頻度の点でかなり回数が多い。そうの頻繁のおかげで、僕のペニスは自明のことに反応するようしっかり訓練されてきていたのだろう。 昨日の夜、ディ・ディとドニーは僕にこう言った。ダニーには「そそくさと済ませて、後は、ありがとう」的なセックスはして欲しくないと。ちゃんと適切に気を使って、してあげて欲しいと。ああ、いいよ。僕は妻たちの要求には必ず応じようと努めているんだ。僕は、たぶん、地球上でもっとも尻に敷かれた男なのかもしれない。
「ぜ、全部?」 「ええ全部。それに、この前の週末にあの人たちが撮ったポラロイド写真もお母様に見せたわ。あの人たちが出した白いドロドロを顔じゅうにくっつけたあなたの写真、とってもキュートねっておっしゃってたわよ。私があなたの顔の上に座って、あなたがきれいにしてくれたでしょう? あの後に撮った写真…」 「…あと、あなたが、仰向けに寝ているネイトの脚の間に正座して、彼の大きなモノを吸ってる写真も見せたわ。お母様は、あなたがずいぶん自信を持ってるようねって関心なさってたわ。特に、ネイトの大きな玉袋を持つ持ち方が素晴らしいって。私、お母様にお話ししたの。ええ、あの人たちがしっかりあなたを訓練してきたし、もう1年以上前からあなたはあの人たちのおちんちんを舐めてきてるのよ、って」 「何だって! ど、どうして僕にそんなことができるんだ、ジル?」 「あら、お母様は全然恥ずかしいことなんかじゃないと思ってらっしゃるわよ。だって、あなたは私たちの結婚生活を守るためにしていることなんだから。私、お母様が私たちの状態を知ることに、あなたがどうしてそんなに怒ってるのか分からないわ。私も、私の母にすでに話してあるもの。うちの母も、私たちは正しいことをしていると思ってるわよ。私たちがあの人たちとセックスさせられているところ撮った写真やビデオ。それを使われても体面を損なうことがないような方法を見つけ出すまでは、あの人たちに言われたとおりにするのが一番良いって、うちの母も言ってるの。確かにね、私はあの人たちにレイプされたわ。私ばかりかあなたもお口を犯された。でも、誰か知らない人が、あのビデオや写真を見たとしても、私たちが本当にレイプされてるのかどうか分からないと思うの。そう思わない?」 夫のジェイムズは、頷き、がっくりとうなだれるだけだった。彼は1年前の出来事を思い出しては、苦悩していた。愛する妻が強姦されるのをただ見ている他なかったことを。それを阻止するために何もできなかったことを。さらに、男たちは、彼の妻の肉体を完膚なきまで使いまくったばかりでなく、彼自身も脅かし、ひとりずつ、その怪物のようなペニスを彼に咥えさせ、脅迫ネタとする写真やビデオを撮りまくったことを。 「ところで、うちの母も、あなたが私のクリームパイを舐めたり、あの人たちにおしゃぶりしたりすることを褒めていたわ。あなたも知っての通り、うちの母はあなたのことをとても高く買ってるの。それから、母も、私と同じ意見で、私はあの人たちが命じるとおりに何でもしなくちゃいけないと言ってたわ。それに、あの人たちがはっきりとあなたに許可を与えるまでは、あなたにやらせない方がいいわよって言ってた。あっ、あと、もうひとつ、あなたがランスにお尻をやらせたでしょう? あれは正しいことだったって言ってたわ。もっと言えば、その時の写真があったら是非見てみたいって」 「な、な、何だって! ぼ、ぼ、僕は、こんなこと信じられないよ!」 「お願い、あなた、落ち着いて。ちゃんとうまくいくから。うちの母もあなたのお母様も、あなたが自分で処理するのを手伝うって申し出てくれたのよ。ふたりとも、あなたの生理的欲求も理解しているし、私もいつもあなたのそばにいて処理を手伝うわけにはいかないことも理解してるの。分かるでしょう? 私、しょっちゅうあの人たちと外出しなくちゃいけないから。それに、あの人たち、そういう時は、あなたは家にいて、家をきれいにしているようにと言ってるし…」 「…ただ、あなた、毎日仕事から帰ると、リロイに電話しなくちゃいけないでしょう? で、リロイが望むなら、どこでもその場所に出向いて、アナルをやられに行ってるでしょう? うちの母もあなたのお母様も、あればかりは、ちょっとあなたも変態じみたところがあるかもねっておっしゃってたわ。でも、ふたりとも、あなたはリロイが命じることをすべきだって同意していたわよ」 「ああ! 何て悪夢なんだ! あいつらに、こんなにもたくさん要求されるだけでもひどいのに、今は、母親たちにもすべてがバレているとは。ぼ、僕はどうしていいか分からないよ」 ジェイムズは、深い疲労感を顔に浮かべ、悲嘆にくれた。
*** ナーバスになっていた? 誰が? 私が? 何にナーバスにならなくてはいけないの? 10日前までは、私は幸せな夫婦生活を送っている、完全に異性愛主義のトレーダーだった。アマチュア・スポーツ選手で、誰からも愛されるナイス・ガイだった。それが今は、ふしだらなブロンド女で、「従業員用のラウンジ」を行ったり来たりしながら、最初のデート相手が来るのをそわそわしながら待っている。自分が何という世界にのめり込んでしまったのだろう。そう思ったのは、この夜、何度目なのかすら分からない。 ダイアナの教えに従って、激しく勃起した分身に震える手でコンドームを装着した。ほとんど不可能じゃないかと思ったものの、何とかして、その「クリトリス」をパンティの奥へと曲げ入れ、太ももの間に押し込んだ。 ダイアナに額に銃を押しつけられ、「デートしなさいよ」と言われたというのとは、全然違う。強いて言うなら、ダイアナはこの2時間ほどは、そういう関心を私に向けるのを避けていた。むしろ彼女自身に向けていた。それでも、いったん私がその道を選ぶと決断した後は、ダイアナは私の気持ちを削ぐようなことは何も言わなかった。ただ、私から決めたことが不満そうなフリをしただけ。 たぶん、そこが核心だったと思う。自分で道を選ぶという点が。ダイアナは私に何かを強要したことは一度もない。彼女は、単に私に一連の選択肢を提示しただけ。そして、どの道を進みたいのか、私に選ばせただけ。 チャンタルは彼女について何と言っていたっけ? 「ダイアナがものすごく説得力があるのは私も知っているわ。本当に…」 そう言っていた。私の恋人はそんなに優れた者なのだろうか? 言葉を使わずに私を操作して、彼女の思い通りのことをさせることができると? ほんのちょっと前など、むしろダイアナは私にデートしてほしくないような印象すら与えていたのに? インターフォンのチャイムが鳴って、私はびっくりして飛び上がった。 「はい?」 「リサ? 僕だよ。ダニエル。準備はいいのかな?」 コルテスは新世界に着くとすぐに、航海してきたのに使った自らの船を海岸線に並べ、すべて燃やすように命じた。彼の部下たちは、夜空に炎が燃え上がるのを見て、もはや後戻りはできないと悟ったと言う。 私はボタンを押した。 「ドアを開けたわ。上がってきて」 燃え上がれ! 燃え上がれ! ダニエルは、ルックス以外の点でも印象に残る男性だった。おカネの交渉については、クールに直ちに済ませ、気懸りとなることを解消し、快楽に没頭できるようにしてくれた。私は、早速、彼をベッドに押し倒し、ベルトを緩め、チャックを降ろし、ズボンを剥ぎ取ったのだったが、彼はそんな私の振舞いを気に入っていたと思う。 彼の「持ち物」の大きさを見た時にも、私は圧倒された。彼のと比較すれば、確かに私は女の子のようなものだと感じられた―そのことは、あの状況の下では、かえって良いことと言える。 スーザンとの夫婦生活を通して、私は、スーザンに何時間にもわたってオーガズムの喜びを与え続ける口唇愛撫の技術を習得していたし、ダイアナとの行為を通して、その技術を洗練し、女性が男性を喜ばすために応用する方法も知っていた。ダニエルは、そんな私の「教育」の成果を享受していた。 最初は、陰嚢から先端にいたるまで、彼のペニスの底面にそって、長くじっくりと舌を這わせ、舐め上げることから始める。全体にわたって、舌先をちろちろと踊らせ、あらゆる部分に舌による愛撫を与える。それから、先端に軽くキスをする。唇をすぼめて、それがかろうじて触れたか触れないかのような軽いキス。それをしてから、唇を開き、ペニスの頭部だけを口に含ませる。その後、再び舌の仕事に戻り、今度は肉茎を横に咥え、上下に顔を動かしながら、同時に舌を細かく動かし続ける。それを何度も、何度も…。 適当に制限時間を設けて、それまでに彼をイカせようとはしなかった。これは、私にとって、初めての、そして不思議に満ちた冒険なのだから。確かに、私が思い描いていた冒険とは違うかもしれないが、この場に私がいるし、彼もいるわけなのだから、最後までやり遂げようという気持ちでいた。 この行為を私自身、本当に喜んでいたのだろうと思う。やがて私は、この素敵なペニスが私の口ではなく、アソコに入っていて、私を犯したらどれだけ気持ちよくなれるのだろうと思わずにはいられなくなっていた。 私の熱のこもった奉仕は、彼にも望ましい効果を与えていたのは確かだった。彼の呼吸が速く、浅くなっていた。彼の腰も前後に動き始めている。いつの間にか彼は両手で私の頭を掴み、私の口に対して突きを繰り返していた。 だが、突然、彼は私を突き飛ばし、身体を離した。 「やめろ! ……気が変わった」 と息を荒げながら彼は言った。 私はこの行為に夢中になっていたところだった。だから、それを聞いてがっかりしたと言うだけでは、表現が足りないだろう。 「気が変わったって…」 恨みつらみを言うような声になっていた。「…私たち、返金はしないのよ」 「いや、違う。そうじゃない。俺は、俺は君の中にフィニッシュしたくなった。どうしても。それはいくらだ?」 嬉しい言葉に、身体をくねらせていた。チャンタルの言葉がまた頭に浮かんだ。 ……あなたに必要なのは、一度みっちりセックスされること。それもできるだけ大きなペニスに…… 「すでに払ってる分に加えて、もう125がいるわ」 「150にしたら、ナマでやってもいいか?」 彼のスペルマをたっぷり注ぎこまれるのを想像し、私は目を輝かせた。でも、そう思ったのと同じくらいすぐに、私の頭脳は理性を取り戻した。 「私、まだ、あなたのことをちゃんと知っているわけじゃないの。増えた25ドルより私の命の方が価値があるわ。だから、今夜は、アレをつけてプレーして。でなければ、ここで止めなければダメ…」 ダニエルは素早く私におカネを出した。私はジャンボサイズの潤滑剤つきコンドームを彼に被せ、また口に含んで10回ほど舐めしゃぶった。そしてスカートをめくり上げ、パンティを脱いだ。
俺は、きついジーンズの中に差し込んだ手でトリスタの尻を揉み続けた。そしてもう一方の手を彼女の脇に添え、徐々に上へずらし、胸へと這わせていった。 トリスタがいっそう激しく身体を上下させる中、俺は軽く彼女の胸を揉んだ。睾丸がジンジンしてくるのを感じたが、ズボンの中に出してしまうのだけは避けたかった。胸を触っていた手を、再び、身体の脇に戻し、今度は彼女のシャツの中に滑り込ませた。 「ああ、いいぃぃぃ…」 トリスタはそう喘ぎ、俺の腕に抱かれたまま小刻みに身体を震わせた。シャツの中、手を腹のあたりから、ブラジャーに包まれた乳房へと少しずつ近づけていたのだが、トリスタが腹をヒクヒクと痙攣させているのが分かった。 トリスタは頭を前に倒し、両腕で俺を包み込むようにして、しがみついてきた。俺にまたがりながら、軽くイキ続けているようだ。身体を制御できないのか、ぶるぶると震えながら、トリスタは股間を俺の盛り上がりに擦りつけたままだ。 指先が彼女の乳房のふもとに触れた。するとトリスタは俺の首筋から耳へとキスし始めた。俺はそれに勇気づけられ、ブラジャーの上から乳房を優しく揉んだ。 「ああ、いぃっ!」 トリスタが小さく悲鳴を上げた。 その後、彼女は小刻みに震えていたものの、やがてリラックスし始めた。だが、股間の方は相変わらず俺の勃起を擦り続けたままだ。俺の方も、いつ射精してしまってもおかしくない状態になっていた。 俺は指先をブラジャーの下側面のワイヤーの中に滑り込ませた。柔らかくて、温かい乳房の生肌に触れる。 「ああん、神様!」 トリスタは、またも身体を震わせ始めた。 手をブラの中にすっかり入れた後、やんわりと乳房を揉みだした。手のひらに乳首が当たるのを感じる。何度も何度も揉みながら、そのコリコリした感触を楽しんだ。 「ああ、感じるッ!」 トリスタは声に出して喘ぎ、さらに激しく股間を俺の分身に擦りつけた。 彼女の乳房の感触は堪らなかった。俺は指で乳首をくるくるこね始めた。 「ううッ!」 とトリスタは何かに耐えるように、俺の首に軽く噛みついた。 俺は、彼女のズボンの中に差し込んだままのもう一方の手をさらに少しだけ奥へ潜り込ませた。すると、俺の手先を左右の尻頬がキュッキュッと挟むのを感じた。一方、ブラの中の手で乳首をつまみ、同時に唇を彼女の首筋に這わせた。 「あああぁぁぁ…」 トリスタはまた叫び声を上げた。再びイキ始めたようだ。 俺は、テーブルの脚が折れてしまう危険があったので、できるだけ強く彼女を抱きしめた。睾丸がヒクヒク言い出すのを感じた。もう、これ以上、我慢できない。トリスタは、依然として股間を擦り続けていたが、それに合わせて、俺も股間を突き上げる動きを開始した。 「ああっ!」 快感の第一波が襲ってくるのを感じ、俺は声を上げた。 一発目の波が肉茎の中を駆け上がり、俺の下着の中に噴き上がった。トリスタは俺の腕の中、小刻みに震えたままだ。俺は、彼女の尻に当てている手に力を込め、強く彼女を抱きしめた。乳首の方も、さらに強くつねった。それを受けて、トリスタはさらに激しく身体を震わせた。 俺の腰が無意識的に何度も突き上げ、それに合わせて、何度も噴射を繰り返した。やがて、俺は射精を終えたが、トリスタの方もようやくスローダウンしてきて、やがて俺に抱かれたまま、まったく動かなくなった。上の部屋に戻った時、ズボンの前に濡れた染みができてなければいいのだが。それを祈るばかりだ。
…ラリーは裸で地下室にいる。そして私は、真珠のネックレスを試しにつけようとしてる… とても綺麗なネックレスだった。 シャノンとデニスがドアのところに現れた。 「それじゃなく、これをつけてみて」 とシャロンがロケットがついたネックレスを出した。 古臭そうなネックレスだったけど、そもそもネックレスをつけること自体、古臭そうになっている。 ペグはゴールドのチェーンを首につけ、私と一緒に階段を降りて一階に戻った。地下室にいるラリーのことを考えた。彼はこのことをどう思っているんだろう? どうしてラリーはシャノンをあんなふうに見つめていられたの? 私がそばにいたのに? 食卓は、圧倒的に素敵だった。何もかも完璧にセットされている。デニスも降りてきた。首に素敵なゴールドのチェーンを2本つけていた。そしてシャノンが現れた。 シャノンは素っ裸だった。いえ、真珠のジュエリーとハイヒールは身につけていたけど、その他は何もなし。指輪すらつけていない。 「やっぱり真珠をつけると素敵だわよ」 とデニスが微笑みながら言った。 シャノンは、何て身体をしてるのだろう! 「さあ、みなさん、腰かけて」 シャノンはそう言って、キッチンに行き、料理を持ってきた。 するとデニスがブラウスを脱ぎ始めた! デニスはブラジャーをつけていなかった。あの2本のゴールド・チェーンを除いて、スカートから上は何も身につけない姿になった。そして椅子に座った。 シャロンはまたキッチンに戻っていた。ハイヒールを履いたまま、素っ裸で家の中を歩き回っている。 「する?」 とペグが私を見て言った。指をブラウスのボタンにあてながら。 ペグは私の顔に浮かんでいる表情から私の答えを読み取ったに違いない。すぐに、その考えに見切りをつけ、椅子に座り、私も同じようにするよう、仕草で示した。 まあ、何とか私はこの状況に慣れたのだと思う。ワインを飲み、ゴシップ話をして楽しんでいた。時々、私の目がシャノンの裸の胸へとさまよっていたし、階下にいる男性たちのことも頭をよぎった。でも、自分でも、よく自分がこんな状況に適応していたと、驚きだった。 食事は驚嘆すべきものだった。シャノンは1週間ずっと計画を練っていたに違いない。―デザートはまるで天国のよう。 食事が終わると、みんなが、そろそろ男性たちにもお楽しみを与える時間ね、と言った。そして、シャノンは皮紐を出したのだった。 男たちがじっと突っ立ったまま、逃げようともせず、それを受けているのを私はじっと見つめていた。その後、四人は床にうつ伏せに横たわっていた。手錠を外し、服を着るよう命令し、私たちは1階に戻った。男たちが1階に上がってきた時までには、シャノンとデニスも、服を着ていた。 ラリーと私は黙ったまま、シャノンの家を出て、車へと歩いていた。彼がしたこと! 私がしたこと! 車に乗るとすぐに、ラリーは私に襲いかかり、私にキスをした! すごく情熱的で、信じられないほど! 家に戻るまで、一言も言葉を交わさなかった。そして、その夜、私たちは何度も何度も愛し合った。一言も言葉を交わさず。 そして、これが私たちの最初の集いでの出来事だった。今は、この集いに出かける準備をするとラリーがどれだけ興奮するか、目を見張る。彼は何も言わないけど、私には分かる。そして、集いの後は、彼はいつもアレをする気が充分になっている。それは私も同じ。たとえ、ディナー後に行われる「二階で」の行為の後ですら、私は、いつも、もっとしたい気持になっている。ディナーの席でも、私はもはや恥ずかしがったりしていない。それにシャノンは私に真珠をつけるのを許してくれていた。シャノンの身体はまだだけど、あの真珠は愛している。 ディナーの後、私たちはいつもシャノンの寝室に場所を変えることから始める。ペグと私は、ふたりとも脚をハサミの形にして、お互いのあそこを一緒に擦り合わせるのが好き。これをするときはベッドに上がっても良くて、ふたりとも両ひじをベッドに突いて上半身を起こし、互いの顔を見つめあいながらしている。 シャノンはデニスの乳首を吸う。デニスはこれが本当に大好きで、これだけで達してしまう。私が思うに、シャノンは本当は下のあそこを舐めてもらいたがっているはず。でも、まだ誰もそれを思いきって切りだしてはいない。今はデニスに指でしてもらってるだけだ。 おわり
息子と同じ年の男の子にケイトと名前で呼ばれ、ちょっと変な感じがした。だけど、それで、かえってみんなとすぐに打ち解けやすくもなったかも。 それまでわたしは首までお湯につかっていたけど、マリファナだと聞いて、どんなものなんだろうとちょっと身体をお湯から出した。実際、わたしはそれまでマリファナを吸ったことも、見たこともなかったから。 わたしの胸のところがお湯から出ると、みんながいっせいにそこに視線を向けるのを感じた。まあ、でもかまわないかな。みんな、すでにわたしのビキニ姿を見てしまっているんだし…。 でも、その時、わたしが気づいていたかったのは、わたしが着ていた白ビキニが濡れたとたん透明になってしまっていたこと。乳房も、乳首も、乳輪も、ぜんぶみんなに見えてしまっていた。でも、わたしはそれに気づかず、ジェイソンが持ってるマリファナを見ながら、立っていた。 「オーケー、でもね、わたし吸ったことないのよ。どうすればいいの?」 と、わたしは、どうしてみんなわたしのことを見ているのか不思議に感じながらジェイソンに訊いた。 「簡単だよ。ただ吸いこんで、ちょっとだけ肺に留めておくだけ」 とジェイソンはマリファナに火をつけた。 みんながわたしのことをじろじろ見ていたんだけど、特に、あの、初めて会ったばかりの若い女の子の視線が気になっていた。ずっとわたしのことを見つめている。 他の子たちは、わたしが視線を合わせると、どうしてか目を逸らしていたのだけど、彼女だけは別。視線を合わせても、ずっとわたしを見つめている。何か直接的なものが彼女の目に浮かんでいた。まるで、わたしの姿を見てショックを受けているような表情…。何か欲望を…わたしに対する欲望を抑え込んでいるような表情…。 彼女が誰なのか訊いてみることにした。 「ねえ、わたしたちまだ会ったことがないと思うんだけど。わたしはケイト」 そう言って、その女の子に手を差し出した。顔にそばかすがあって、とても可愛い子。髪はブロンドで、ショートにしている。 その時まで、その子はお湯の中に身体を沈めていたけど、彼女も握手をするために手を差し出した時に、彼女の身体が見えた。そして、そのビキニのトップに覆われた豊満な胸に目を奪われた。え、こんな若い子なのに、こんなにゴージャスな胸をしてるの? 正直、驚いた。その子が18歳なのは確か。でも、普通。こんな大きな胸をした18歳の子は、そういないわ。 「私は、エレーンです」 とその子は優しい声で言った。 ちょっと珍しい名前だけど、彼女にはぴったりの感じ。控え目で、自分に自信がないような雰囲気の子で、ずっと無口気味にしていた。わたしは笑顔になって握手した。彼女も笑顔になっていたけど、握手を終えるとすぐにお湯の中に身体を沈めてしまった。 どうやらエレーンをここに連れてきたのはスティーブらしい。というのも、スティーブはときどき彼女に話しかけながら、腕を彼女に回そうとしていたから。でもエレーンの方は、彼の腕をすぐに払いのけていた。 エレーンと会話はそれだけで終わってしまった。ジェイソンがマリファナに火をつけ、みんながまわし吸いを始めたから。すぐにわたしに順番が回ってきて、唇に咥えて、吸いこんでみた。煙がグッと来て、思わず咳きこんでしまい、みんなが笑っていた。 「みんなに言ったでしょう。初めてだって」 と咳をしながら呟いた。 「そうだね、じゃあ、もう一回、吸わなくちゃ」 とジェイソンがわたしの肩に腕を回しながら言った。「さあ、今度はゆっくりと」 ジェイソンはわたしの手を取り、再びわたしの唇にマリファナをあてがった。今度はちょっとだけ吸いこんで、そのまま息を止めた。すると、まわりの風景がゆっくりと暗くなっていって、頭の中がゆらゆらしてきた。息を吐き出すと、ゾクゾクする感じが身体じゅうに広がった。 まわりを見回したら、みんながカップルになっているのに気づいた。スティーブはエレーンのそばにくっついたまま。ジーナはトミーに近寄っている。わたしはジェイソンのそば。気がつくとジェイソンはわたしの身体に腕を回して、引き寄せている。 ジェイソンはわたしの半分ほどの歳だけど、わたしはどうしてか興奮していた。こういう興奮、高校生のとき以来、感じていなかったかも。高校生の時は、両親に家にいて勉強させられていたので、こういうパーティにはめったに出られなかった。こういうのが若者たちのパーティなのね? わたしがここにいるのは場違いというのは知っていたけど、もうちょっとお付き合いしてみようかなと思った。
その2週間後はバレンタインデーだった。それが土曜日にあたるのを見て、僕はアンジーのために何か特別なことをしようと思った。僕はあるアイデアを持っていて、それは、僕がフレンチ・メイドの服装になって、アンジーに一日中ご奉仕するというアイデアだった。実のところ、そのアイデアは「シシー・ワールド」の雑誌から得たものだった。あの雑誌の中にメイド姿になった人の写真があったのを思い出したのである。 どこに行けばメイド服が買えるのか分からなかった。だけど、以前、アンジーがギャフ( 参考)を買ったお店に行けば帰るかもしれないと思っていた。アンジーはあの後もギャフを買い足しに2回ほどあの店に行っており、コスプレ用の服も含めていろんな衣類を売っていると僕に話していたから。 でも、自分でメイド服を買うというのは勇気がいることで、僕はずっと買いに行くのを先延ばししてしまい、結局、その店に入ったのはギリギリで、バレンタインデーの前日だった。 店に入る時、どれだけナーバスになっていたか、話しても分かってもらえないと思う。実際、店の近くの道路に車を止め、店に入る勇気を奮いだすため、30分近く車の中にいたのだった。なんだかんだ言っても、その店は女装する男性のための店なのである。店の人がメイド服は僕が着るものだと思ったら、僕はどうしたらよいのだろう。結局、僕は、ガールフレンドのために買うと店の人に言うことに決めた。 ようやく勇気を振り絞って、店に入った。最初に僕があっと思ったのは、その店の匂いだった。皮製品のムッとする匂いやラテックス製品のツンとくる匂いである。この二種類の匂いに隠れて、わずかにラベンダーとシナモンの香りがした。 僕が入って行った店の部分は、奥の方にあるセクシュアルな装身具が飾ってある部分だった。ストラップオン用の革ベルトが数点飾ってあった。いずれも大きなディルドを装着した形で飾ってある。もちろん他にも様々なディルドやバイブが飾ってあった。 さらに奥手に進むと、アンジーが言っていた通り、様々な種類の衣類でいっぱいの部分が出てきた。女性の足には大きすぎに見えるものの、デザインは明らかに女性用の靴もたくさんあった。 コスプレ用のコスチュームはどこにあるんだろうと見回していると、突然、後ろから肩をとんと叩かれ、僕はびっくりして跳ね上がりそうになった。振り向くと、非常に背が高い中年女性が立っていた。180センチは軽く超える背の高さ。ハイヒールも履いているので、190から195センチはありそうに思った。長く美しいブロンドの髪の毛をしてて、肌は白く、瞳は青で、サクランボのような色の唇をしていた。その笑顔はとても温かみがある。 僕がびっくりした顔をしてたのを彼女が見たのは確かだろう。 「びっくりさせてごめんなさい。ここでは何も怖がるべきものはありませんよ。噛みついたりしないから。うふふ。私の名前はアンナです。何かお探しのものでも?」 と彼女は握手を求めて手を差し出した。 「僕は、その……メイドのコスチュームを探していたんです。……僕のガールフレンドに送るための…」 と、説明したが、言葉がたどたどしくなっていた。 アンナはぱっと明るく笑顔になって言った。「ふーむ、あなたなら、メイド服を着たら素晴らしいでしょうね。フレンチの…」 「あ、いや、…ええ、そう、フレンチメイドの服です。ですが、それは僕ではなくて僕のガールフレンドのためであって…」 アンナは右手をのばして、僕の左のイヤリングに触れた。「もちろん、そうでしたわね。あなたの可愛いガールフレンドのため。…では、一緒に来てください。いくつかお見せしますわ」
ディアドラが言った。 「もちろん、彼女をここに連れてくるわ。あなたが別のところに行くようにはさせないから。それにダニーが一番妊娠しやすい時期にしなくちゃいけないわね。運が良ければ、ドニーと私が生理になってる時だといいけど。それを考えたことある? うまくいけば、私たちが生理の間も、あなたはセックスを諦める必要がないのよ」 本当に心に思ってることを正直に言えば、ディ・ディとドニーが生理になる時期もいいものだと思う時がある。言ってる意味が分かるかどうか、ちょっとプレッシャーから解放される感じがするのだ。これは僕の美しい妻たちには決して言っていないちょっとした情報だけど。 僕は、これまでもずっと、熱心に性生活に参加してきたと自任している。もっと言えば、特に週末は一日に3回から4回はすることも多い。アメフト試合でのハーフタイムは大好きだ。ハーフタイムではテレビで偉そうな連中が無理に友愛を装って知ったかぶりの話し合いをしているものだが、それを見なくてすむのだ。ハーフタイムになったら部屋を出て、どちらかの妻とセックスして、後半戦が始まる時にちょうどテレビの前に戻る。僕の人生は最高だ。 それなのに、いま、彼女たちは僕にもっとセックスしろと持ちかけている。今度はまったくの赤の他人としろと。まあ、少なくとも従妹ではあるが。その人もジョアン・ウッドワードのようなルックスなのだろうか? ディ・ディやドニーの時と同じように、その人にも同じ化学的誘引を僕は感じてしまったらどうしようか? それは恐ろしいことになるだろう。 何か、大災難が待ち構えているかもしれない。できることなら、何とかしてこんなことから逃れられないだろうか? ディ・ディの話しアンドリューはダニーとの件に気が進んでいないようだ。私たちに対する責任から仕方ないと思っているようでもあるが、それ以上のことが彼の中にあるように思う。アンドリューは責任を守って生きて行くタイプの人だ。彼が約束を破ったことは一度もない。でも、ダニーのと一件は彼を怯えさせているように思う。 私たちはダニーにこちらに来るよう手配した。彼女が家に着くと、リビング・ルームに案内し、ドニーと私と一緒に腰を降ろした。アンドリューはコンピュータ室で仕事をしていた。ダニーはご主人を連れてこなかった。私たちは、どうして連れてこなかったのと訊いた。 「もちろん、アーティは今度のことを知ってるわ。彼にはすべてを話しているの。彼も内心そうなってほしいと思っているのよ。私たち本当に子供が欲しいの。でも、それは頭の中の話し。現実とは全然違う。アーティは、こんなこと起きてほしくないフリをしているわ。そして私も彼がそういうフリをするのを助けるつもり。私たち愛し合っているの。彼を寝取られ夫になんかしたくないの。だけど、私たち、赤ちゃんが欲しいの。必要なのよ」 ダニーは話しながら泣き出していた。それも当然だった。彼女は妊娠するために、最も大切にしてきたものを手放しても構わない、夫婦の間にこのような危機を引き起こしても構わないという気になっているのだから。アンドリューにはしっかり任務について欲しいと思った。 「ダニー? アンドリューも全然乗り気でないの。それは私たちも同じ。でも、同時に、私たちは機構の目標を達成する責任も感じてるの。あなたがどんな気持ちでいるか分かるつもりよ。私たちも、たった2年ほど前までは、子供を産めるなんて考えたこともなかったの。アンドリューと出会えて、本当に幸運だったわ」 ダニーは泣きながら訊いた。「アンドリューは本当に私に子供を授けられると思う?」 ドニーはただ頭を左右に振るだけだった。「分からない。頭の中ではアンドリューは何でもできると思うけど。彼は私たちと交渉を持った最初の回で、私たち二人を妊娠させたわ。でも、現実がどうなるか知ってる人なんている? ひょっとするとアンドリューは私たち二人にしかうまくいかないかもしれない。でも、私たち、試しに彼にさせてみる気になってるの。だから、お願い、我慢して。これは彼にとってもとても辛いことだから」 ダニーは驚いた顔になった。「彼、私のこと欲していないの?」 私が答えた。「ダニー? アンドリューは私たちを愛しているわ。私たちが頼むことなら彼は何でもする。でも、彼に浮気をしてと頼むのは、彼にとってはほとんど耐えがたいことでもあるの。この件はあなたには何の関係もないこと。全部、私たちと彼との問題」 「あなたを傷つけたくないわ。もしそうして欲しいなら、私、帰るわよ」 ドニーが笑った。「正直、私たちはこれを楽しみにしているのよ。ある意味、アンドリューを不安定な状態にしておくのが一番いいの。彼は彼なりやり方で安定感を取り戻すから。そういう習性が彼にはあるの。私、彼が居心地が悪そうになっているのが、好きなの。心配しないで。…ねえ、ワインでも飲まない? そろそろムードを盛り上げておく時間だと思うから。私がアンドリューを連れてくるわ」 私は、この時のために冷やしておいたシャンパンを出した。アンドリューはマム・コルドン・ルージュ( 参考)に目がない。これを2杯ほど飲むと、決まって彼はエッチになる。まあ、実際のところ、彼はいつもエッチなのだが。
「レイプと脅迫」 RAPE AND BLACKMAIL by C.D.E. http://www.asstr.org/~Kristen/cde/rapeand.txt キャスト:ジェームズ(夫)、ジル(妻) 第1章 妻との会話 「あなた? 私が言ったことであなたがばつの悪い思いをするとは思わなかったわ。その正反対だとばかり思ってた」 「ジル…。ぼ、僕がどんな目にあわされてきたか、いや、ひどい状態はいまも変わってないのだが、そのことを君は僕のお母さんに話したんだよ。それなのに、屈辱的なことじゃないと思ってたなんて。ぼ、僕は信じられないよ」 「あなた、私がお母様にお話ししたことは、もしあなたが本物の立派な男なら、私のアソコから他の男たちの出したものを舐め取ったりしないものって、それだけだわ。でも、あなたはとっても優しくて愛情たっぷりの良い旦那だから、私がリロイやハンクや他の男たちとデートして帰ってくると、一生懸命、私のヌルヌルになってるアソコを舐めてくれるのよね…」 「…ええ、確かに、私、お母様には自慢して言ったわ。あなたの顔の上に座ったり、あなたの頭を私の濡れてドロドロになった割れ目に引き寄せたりして、他の男たちが私の奥に撃ち出した濃いスペルマをあなたが全部吸い取って食べるのを見たり感じたりすると、とってもいい気分になるって。私の夫はとっても舐め上手なのよって、他の人に自慢しない妻がどこにいるって言うの?」 「舐め上手?」 「ええ。あなたが一番上手なのはそれ。お母様は、あなたがそんなに舐め上手だと聞いて、あなたのことを誇りに思ってるって、そこまで言ってくださったわ」 「な、何と!」 「それに、お母様はこんなこともおっしゃってたわ。私が強引に貞節を奪われたにも関わらず、あなたがこんなに優しくて、妻に忠実な夫でい続けていると知って、とても嬉しいって。それに、あなたが、私たちを脅迫してる黒人の男たちには決してかなわないと知りつつも、ちゃんと妻の欲求を満たそうと頑張ってるのも誇らしいって」 「そ、それは、ぼ、僕が、あの男たちの方がとても大きくて、僕の方がどれだけ小さいか、それを立ち聞きした時のこと?」 「どうして訊くの? ええ、そうよ。あなた、私とお母様の会話をずいぶん立ち聞きしてたでしょう? 私を犯した黒いおちんちんがどれだけ大きいか、それを訊いたのはお母様の方だったわ。それに、そのサイズを聞いて、それじゃあ、あなたはその黒人たちとは試合にならないっておっしゃったのもお母様だったわ。野球場にすら入れないし、ましてや同じ野球リーグで張り合うなんて問題外、と」 「お、お母さんが、そんなことを?」 「ええ、そうよ。それにね、あなた? あの人たち、私にあなたとセックスするなって言ったでしょう? あの人たちの許可を得た時だけ、少しだけならいいと。お母様は、そのわけもちゃんと理解してるとおっしゃってたわよ」 「き、君はまさかあのことも…」 「ええ、どうして? どうして言っちゃいけないの? いいじゃない。だって、あなたのお母様なのよ? 母親なら、あなたがちゃんと幸せな生活をしているかを気にするのは当然じゃない? それに私も義理の娘なわけだから、私の幸せも心配するのもお母様にとっては当たり前だわ。そうじゃない?」 「も、もちろん…。で、でもだよ、何もお母さんにあんなことまで話さなくてもいいじゃないか…」 「お母様が知りたがったの。知るべきだと思うわ。私、お母様に全部お話ししたわよ」
ジムという人は入り口にいて、客が来ると挨拶をしていた。面識はないも同然だった。今夜、この店に入った時は、彼は私に挨拶はしてくれたものの、他の明らかにストレートと分かる男性客に対してと同様、私にもほとんど無視も同然だった。 ダイアナはジムのことについて教えてくれていた。彼は背が低く、丸々と太ったゲイで、女装に興味があったと言う。最初は、彼自身がステージに上がってパフォーマンスをしていた。彼は店で働く者たちに時として暴君になるという噂があったが、本当は、彼はステージでパフォーマンスをしたり、サクラとして盛り上げたりする女の子たちを崇拝していて、密かに、自分もそういう女の子たちと同じくらい美しくなれたらと願っている人物とのことだった。 ジムは私を見るなり、目を飛び出さんばかりに丸くした。 「まあ、まあ、可愛い子ちゃん! ずるいわねえ、いつの間に店に潜り込んでいたの? この入り口から入ったんなら、絶対、あなたのことは覚えているはずなんだけど」 私は手を差し出した。 「リサ・レインです。ダイアナのお友達なの」 ジムは私の手を取り、手の甲にキスをした。 「ああ、もちろんそうだわね! 美女なら誰でもダイアナの知り合いだから。今夜、ダイアナが店に来たのは覚えているんだけど。でも、ごめんなさいね、どうしてもあなたのことが思い出せないんだけど」 「覚えてる理由がないと思いますよ。私が店に入った時は、くすんだ存在だったから。外に出るのはこれが初めてなんです。もっと言えば、私は2時間ほど前にあなたのお店の着替え室で誕生したようなもの」 ジムがどれほど感情的に盛り上がれるのか、果てしがないように思われた。文字通り、どうしていいのか分からず、私の周りをくるくる回って、私を見ていた。 「ああ、なんと、なんと! ほんとに優雅。今回が初めての外出? なのにこんなに素敵だなんて? そうすると、私は娘自慢のパパということ? ああ、落ち着くのよ、私! ああ、心臓発作を起こしそう。誰か私にアスピリンを持ってきて! この人、他に取られる前に、私がつぼみのうちに摘み取ってしまわなくちゃいけないわ! 今すぐ! ねえ、あなた、ダンスできる? 歌は? 少なくともアテレコはできるわよね? ローラースケートとかチアガールの真似は? どうしてもうちのステージに上がってちょうだい! ああ、私、すごく興奮している。自分が自分でないみたい!」 「ねえ落ち着いてちょうだい。じゃないとステージに上がったとしても出演料を二重に請求しちゃうから」 と冗談まじりに言った。 可哀想にジムは笑いすぎて、最後には涙まで浮かべていた。 「ねえ、お願いだから私と一杯つきあってくれない? あなたとの出会いは本当に特別な感じ。だからお祝いをしなくちゃ」 「私も是非、ジミー」 私はできる限りの魅力を醸し出して返事した。「…でも、ちょっと後でもいい? 実は、隣の従業員用のラウンジに立ち寄って、ちょっと……コーヒー・ブレークをしようかと思っていたの…」 これはダイアナに教えてもらった合言葉だった。ジムは私の言った意味をちゃんと理解した。 「じゃあ行ってらっしゃい! 初めて外出したというのに、もう素敵な男を狂わせたのね? あなた、スターになるわよ。ダイアナみたいに!」 ジムは両手で私の両手を掴み、ぎゅっと強く握った。私はその機会を利用して、手に25ドル紙幣を持って彼の手を握り返した。ビジネスを円滑に進めるためのちょっとした油。彼はおカネに気づき、にっこりと顔を崩した。 「あなたは本当に優れモノよ! デートに行ってらっしゃい。ちゃんとコンドームは使うのよ。ここからブザーで中に入れてあげるわ。戻ってきたら、一緒に一杯。いいわね。ああ、私があと20歳若かくて、女の子にそそられる人間だったらいいのに!
俺は、ワインの瓶を倒さないように注意しながらテーブルの上に座った。トリスタはドアの方をちらりと見てから、俺のそばに来た。片脚を上げて、俺の脚の上にまたがろうとする。俺は両膝を閉じで、トリスタが俺の膝の上にゆっくりと腰を降ろすのを見た。 トリスタは両腕を広げて、俺の身体を包むようにして抱きついた。ふたりとも互いの瞳を見つめながら、ゆっくりと顔を近づけた。ロマンチックに互いに目を閉じ、ゆっくりと唇を重ねた。 まるで全身に電流が走りスイッチが入ったかのように、ふたりの口が同時に動き出した。互いの舌が相手の唇を愛撫し、互いの手が相手の背中を擦り、愛撫し合う。 ふたりの情熱が激しさを増し、トリスタの口から小さな喘ぎ声が漏れた。彼女の胸が俺の胸板に押し付けられ、彼女が漏らす熱い吐息が俺の顔に吹きかけられる。俺の膝の上に座るトリスタが、ちょっと身体を動かし、その位置を直しただけで、俺の股間は勃起を始めた。 「ああ、ジャスティン? 私、今の良い子のイメージを破り捨てたいわ」 トリスタは、俺のズボンの中の盛り上がりに股間を押しつけながら言った。「でも、とても怖いの」 ふたりとも舌を固くさせ、相手の口の中に入れたり出したりを続けていた。 「怖がることはないよ」 と俺は囁き、片手を下にずらし、彼女の腰の方へ這わせた。 手の先が彼女のジーンズの履き口に触れた。それを感じ、俺は指先をその中へ滑り込ませた。腰の上の素肌に触れる。トリスタの肌は火がついたように熱くなっていた。そしてトリスタの方も、俺の前進に気づいてすぐに舌で俺の唇を舐めはじめた。ふたりとも全面的に口を開けて、互いの口唇愛撫を受け入れていた。 俺はさらに大胆になり、少し奥まで指を刺し入れた。指先に彼女のお尻の割れ目が感じられた。俺は中指をその割れ目の奥へと滑り込ませた。 「ああん…、ジャスティン…」 そう喘ぐと、さらに俺の喉奥へと舌先を突き入れてくる。 俺は両手を彼女のジーンズの中に入れ、優しく尻肉を揉み始めた。肌触りが素晴らしい。俺が揉む動きに合わせてか、トリスタが腰を動かし始めた。俺の勃起に股間を擦りつけてくる。心臓が爆発してしまいそうな興奮だ。 いったんキスを解き、顔を離した。ふたりとも目を開けた。彼女の瞳の中、ろうそくの光が映って見えた。顔を離し見つめあっていても、トリスタは腰の動きを続けたままだ。一言も言葉は交わさず、黙って見つめあったまま、ふたりとも股間を擦り合わせ続けた。 「ああん、ジャスティン…」 急にトリスタはそう呟き、目を閉じて、頭を後ろに倒した。 俺はすぐに顔を彼女の首に近づけ、その肌にキスをした。熱い肌に唇を這わせ、首の付け根から耳へとキスをしていく。 トリスタの呼吸が荒くなってきた。腰もずっと動かし続けている。そのことから彼女がいま起きていることを気に入ってるのが分かる。耳への口唇愛撫を続けていると、彼女は頭を左右へ振り始めた。舌を軽く耳の輪郭にそって這わせると、小さな泣き声のような声を上げ始めた。さらに舌を耳穴に差し込んだり、耳たぶを甘噛みしてみた。すると突然、トリスタに火がついた。 自分の両足を使って、彼女は上下に身体を動かし始めたのだった。俺の勃起に対して、股間を打ちおろしては、持ち上げる動きになっている。ジーンズの上からであっても、彼女の女の部分がはっきり感じ取れた。
彼は少しだけゆったりと座る姿勢になり、アンジェラの顔をまじまじと見た。 「韓国人ですね」 疑問文と言うより断定文に近かい言い方だった。 「ええ、そうです。どうして分かったんですか?」 この人は変わった人だけど、どこか魅力的なところがある。それにとても観察力があるようだ。そのことがかえってアンジェラの好奇心を駆り立てた。 「あなたは、ずっと前に私が知っていた人に似ているのです。その女性は…韓国の人でした」 韓国の人という言葉の前で少し間をおいたことが、奇妙に感じられた。 「そのお方のお名前は? …ひょっとして私と関係がある人かも」と彼女は微笑んだ。 「いえ、その人の苗字は知りません」 この人はその女性のことをそれほどは知らなかったのね。 「それにしても、ここの席で食事をさせてくれてありがとう。とてもきれいね。こんな素敵な水槽を見るのは初めて」 と、アンジェラは、水槽の中を泳ぐ棘のついた斑点の魚を眺めた。「この魚は?」 「ホウボウと呼ばれてます。非常に危険ですよ。恐怖を感じたら、人の指を食いちぎってしまうこともあります。…それに、こちらこそ、店に来ていただいてありがとうございます」 「アンジェラと言います」 と彼女は手を差し出した。 「アンニョン[Ahn-young こんにちは]、アンジェラ。私はノブと言います」 と彼は彼女の手を握ったが、手を振ることはしなかった。 「韓国語を話すの?」 アンジェラは驚いた。彼の手はとても温かかった。 「ええ」 「どうして? あなたは日本人じゃないの?」 彼は依然として彼女の手を握ったままだった。 「私の訛りはそんなにひどいでしょうか?」 ノブは目を輝かせ、楽しそうに訊き返した? アンジェラは、時々、会話の流れを追うのが難しくなっているのに気づいた。彼の顔を見たまま、うわの空になってしまうからである。 「い、いいえ。あなたの訛りは大丈夫。もっと言えば、私の好みだわ。どこか、黒澤映画を見ているような感じになるから」 「侍の映画が好きなのですね」 「ええ、そうなの」 ノブがその先を訊こうとしたとき、彼女の料理が届いた。それは、アンジェラに握られていた手を離す口実を与えることにもなった。 「まあ、美味しそうな匂い!」 そう言って、食べ始めようとしかかって、彼女はノブを睨みつけた。「あなたは食べないの?」 「私はもう食事は済ませたもので。ありがとう」 と彼はくすくす笑った。温かく、楽しい感じの笑い方だった。「でも、どうぞ、食事を続けてください。お気にせず」 アンジェラはむしゃむしゃ食べるところを見られないようにと気にして、半分ほどで食べるのをやめた。 「ここの料理のお値段、ずいぶん控え目すぎると思うわ。こんなに美味しいのに!」 青い瞳が興味深そうに彼女を見つめた。 「では、どうして食べるのをやめてしまったのかな?」 アンジェラは笑いだした。「だって、お腹がいっぱいになったんですもの。これ、持ち帰ることにするわ。後で夕食のときに食べられるように」 「わざわざそうしなくても」 「というと?」 「残り物を食べなくてもよいということです」 「どうして? 私、ドギーバッグ( 参考)が大好きなのよ」 とアンジェラは笑顔で答えた。 「あなたが冷たくなったものを食べると思うと私が嫌だから」とノブも笑顔で答えた。「夕方、夕食時にまた来てください。そうすれば何か温かいものを食べられますよ」 「今夜はお店を開けるの?」 「…あなたのためなら」 と彼は小さな声で言った。 「まあ、そんなことすることないのに。とても、面倒なことのようだわ」 この人はとても親切だし誠実な人だとアンジェラは思い、彼の申し出を断ったものの、悪い気はしなかった。 「では、私の家に夕食に来ませんか?」 と、ノブは手を伸ばし、再び彼女の手に触れた。 びっくりすることが次から次へと起きる。 「ノブ? 私をデートに誘ってるということ?」 アンジェラは自分の手に乗せられている彼の手を見ながら、冗談っぽく尋ねた。 「私と夕食をご一緒していただけるなら、デートと呼ぼうが何と呼ぼうが、私は構いません、アンジェラさん」 とノブは手を離しながら、温かく答えた。 「どこに住んでるの?」 「ここです」 「このレストランに?」 ノブは楽しそうに笑いだした。 「アハハ、いいえ違いますよ、アンジェラ。私はこのビルに住んでいるんです。50階以上はすべて住居になっていますから。それで、今のはイエスという返事ですか?」 アンジェラは、彼のチャーミングな物腰にノーとは返事しづらいと感じ、自分も笑いながら、頭を縦に振った。 「何時頃行けばいいかしら?」 「もしよろしかったら7時に来てください。ドアマンが階上へ入れてくれるはずです」 「ドアマンには何号室と言えばいいのかしら?」 「ペントハウス」 とノブは立ちあがりながら言った。「あなたもこのビルで働いているのですよね?」 アンジェラは彼の言葉に思わず上ずった声を出しそうになっていた。「え、ええ」 「それじゃあ、今夜、楽しみに待っています」 とノブは元いた自分の席へと歩き始めた。 「あ、ちょっと待って! どうして私にお食事を?」 ノブは何でもないと言わんばかりに手を振りながら腰を降ろした。 「そんなことは気になさらずに。7時に待っていますね」 アンジェラは職場に戻る時間になっていたのに気づき、感謝の気持ちで笑顔を見せ、店を出た。 アンジェラが店を出るのを待ち構えていたかのように、ウェイトレスが出てきて、にこにこ笑いながら店主をからかった。 「ヘイ、ボス! ずいぶん順調そうだったじゃない」 「フザケンナ[Fuzaken-na]、メイ」 メイは唇を尖らせ、両手を腰の両脇に添えて胸を張った。 「ボス、運が良かったんだから。私が給料をもらいにここに立ち寄らなかったら、ボスが自分で料理しなくちゃいけなかったんだからね。そうなったら、あんなにあの人と話していられなかったんだから」 ノブはまた笑い出した。「アハハ、アリガトウ[Arigato]、メイ。もう帰っていいよ」 「じゃあ、また月曜日に」とメイは手を振り、出る間際に一言、「デートうまくいくといいね!」と言った。 「バカ[Baga]!」 ノブは唸り声を上げたが、メイはくすくす笑い、ドアから軽い足取りで出て行った。そして、彼も店を閉め、最上階にある自分の住まいに戻った。 部屋に入ると、ノボルはベッドに座り、顔面を両手で覆った。自分を抑えこもうとしてだった。彼女と話している間、落ち着いた外面を維持していたが、これがいかに大変だったか。まるで時間をさかのぼったような感覚だった。あれから経過した400年以上の時間。それが消えてしまったようで、彼女に初めて会ったのがまるで昨日のことのように思えた。彼女が帰った後も、まだ彼女の匂いが嗅ぎとれた。テーブルを飛び越え、彼女に襲いかかることを堪えるのが精いっぱいだった。 …気をしっかり持つんだ、とノボルは自分に言い聞かせた。はたして俺は7時まで持つんだろうか? 不安になった彼は、多少、運動をすれば神経のエネルギーをいくらか弱められるかもしれないと思った。不適切に振舞って彼女を怯えさせてしまうこと。それだけは望まぬ彼だった。 つづく
ペグは私に静かにしてるよう身振りで示した。だれも何も言わなかったけど、そもそも、誰も喋ろうという気すらないみたいだった。はっきりしてるのは、空気がとても張り詰めていたこと。 シャロンがちょっとだけ動いた。その動き、ただ身体の位置を調節しただけのように見えたけど、実際は、とてもセクシーな身体の動きをしていたことに気がついた。ラリーを見て、ニッコリ笑いながら彼女が訊いた。 「こういうの大好きなのよね? そうでしょ?」 明らかにラリーに向かって言ってるのに、彼は返事をしなかった。ただ、見つめているだけ。ラリーがシャノンに気をそそられている理由は分かるけど、私としてはショックを受けていた。まるで彼は彼女のこと以外、全然、頭にないみたいに見えた。 「そうでしょ?」 シャノンが繰り返した。 「ああ」 ラリーが低い声で答えた。 シャノンは返事を聞いて、ニッコリ笑った。私は彼女の笑い方がそんなに好きじゃない。私は目を背けた。 ふとダイニング・ルームの方を見たら、シャノンが全部片付けてしまっているのに気がついた。品のいい食器も何もかも。テーブルにあるのは4組の食器だけ。 ペグが私に軽く触れ、もう一度見るように促された。静かに見てるように、と。 シャノンはテーブルの端から脚を降ろし、そして立ち上がった。優雅に、まるでネコのように、身体を動かしてる。 「私が欲しいのね」 「ああ」 「何も気にならない。私だけが気になってる。そうね?」 返事はなかった。 「いまはただ、私のことだけ気になっている」 「ああ」 シャノンはそこでちょっと間を置いた。そして、言った。 「シャツを脱いで。今ここで」 また短く間をおいて続けた。 「私のために」 ラリーはただシャノンを見つめているだけ。シャノンがまたにっこり笑った。 「私のことが欲しいと言ったでしょう? して。今すぐ。あなたの奥様の前で。私のために」 シャノンは、私のことを言ったとき、嬉しそうと言ってよいような顔をしていた。 ラリーは言われたとおりにした。シャツのボタンを外し始めている! シャノンはちょっとくすくす笑った。 「忠誠心はそこまで!」 そう言うと同時に、シャノンは両手を身体にあて、上下に這わせた。彼女の服はとてもタイトで、身体に密着している。 ラリーはシャツを脱いだ。シャノンは少しだけ彼に近づいた。 「裸になって」 デニスが手錠や猿轡や他に何かそういう物を持っているのが見えた。 ラリーは言うとおりにした。素っ裸になって立っていた。 「いい子ね」 シャノンはわざと上から下までラリーの身体を観察するようにしながらそう言い、それから、デニスの方は実際には見ないで、頭の動きだけで、彼女に指示を送った。 デニスがラリーの後ろに近づき、彼の両手首に手錠をかけた。ラリーはシャノンを見つめたまま、ただ、突っ立っているだけ。 「言ったとおりでしょう? 彼もこれが気に入るって」 ペグが私の耳に囁きかけた。 それからペグは私を引っぱるようにして部屋から出た。その間、シャノンとデニスはラリーを地下室の方へ連れて行った。階段を降りて行くのを私は見届けた。ラリーは一度も私の方を見なかった。 「今夜は私たち女だけよ」 とペグが言った。そして、「一緒に来て」と再び私を引っぱった。 彼女に連れられ、今度は二階に上がり、寝室に入った。ペグは宝石箱を開けた。 「シャノンは彼女のジュエリーを私たちにつけてもらいたがってるの」 とペグは真珠の首飾りを出した。「これもシャノンがつけているものだわ。つけてみて」 ペグは私の首にその首飾りをつけた。
ジーナが、わたしの後ろ、ちょっと横のところに近寄ってきた。両手を出してわたしの下のビキニの腰紐をつかんで、キュッと引き上げた。彼女のビキニと同じ感じに、ハイレグらしく。 でも、そのとたん、あそこにビキニが食い込むのを感じた。思わず、ああんッ! と小さな声が漏れてしまった。 目を落としてみたら、あそこの唇の片方が外にはみ出てしまってる。べロリと生地の外側に… あっと息を飲んで、目を丸くしていた。ああん、こんなエッチな姿…。陰唇を片方だけはみ出してる姿…。なんて淫らなの?……でもセクシー…。 ジーナがわたしが下を向いてるのを見て、わたしの視線を追った。彼女、お口を開いて、舌舐めずりしている…。 「あっ、ご、ごめんなさい…。私に直させて」 ジーナは素早くわたしの股間に手を伸ばして、あそこに触れた。指を一本、ビキニの生地とわたしのあそこの唇の間に入れて、生地を伸ばして引っぱり上げ、私のあそこを隠してくれた。 すぐに手を戻してわたしの腰にあてたけど、その手の指がキラキラ輝いていた。わたしが出した湿り気が彼女の指に残ってる…。 ああ、どうしていいか分からない。何と言っていいか分からないわ。 この子はわたしのお友達の娘さんなのよ。彼女が小さな子供の時から知ってるのに。なのに、今は……。いま、彼女はわたしのあそこを触っていた。いかに他意がない行為と言っても、わたしのセックスする部分に触れたの…。 この子が欲しい気持が湧いていたけど、何とかしてそれを隠そうとした。でも、それって、とても難しいわ…。本当に難しいの……。 「これでオーケー。準備ができたわね。行きましょう。みんなをノックアウトしに!」 ジーナはそう言ってわたしの手を取り、引っぱって行った。わたしはどうしてよいか困って、小さく震えながら、彼女に連れられて階段を降りた。庭に通じるガラス戸まできて、ちょっと立ち止まった。 ジーナはわたしが迷ってるのを察したみたいで、わたしの前に来て、つま先立ちになって、わたしの頬にあのバラ色の唇で優しくキスしてくれた。この子、近くに来ると、とてもいい香りがする。 「大丈夫よ。見てれば分かるから」 ジーナは、わたしに不安を和らげる優しい言葉をかけてくれた後、ドアを開け、庭へわたしを導いた。わたしは下唇を噛みながら、後に続いて外に出た。ハイヒールを履いているので、歩くと腰が左右に揺れる。 わたしたちが外に出て、みんながわたしの方に視線を向けたとたん、おしゃべりがピタリとやんだ。男の子たちはみんな口をあんぐりと開けてわたしを見つめた。みんな、飢えた目をして、わたしの露わな身体を上から下までじろじろ見ている。 息子を見たら、信じられないといった顔でハアハア息を荒げていた。ジーナはわたしの手を離し、一足先にホットバスに入ってしまった。わたしは小さく震えながらそこ突っ立ったまま。ああ、もう…。わたし、何をしているのかしら? 息子や息子のお友達の前なのに! 「ケイト、入ったら? とても気持ちがいいわよ!」 ジーナが声をかけた。 わたしもバスタブに入り、息子とジェイソンの間に身体を沈めた。首まで水につかって、身体が見えないようにした。ジーナとスティーブ、それにもう一人の女の子はわたしの反対側に入ってる。 わたしが入るとすぐに、おしゃべりが再開し、わたしも少し気持ちを落ち着けることができた。息子がわたしの手に触れて、わたしを安心させようと手を握り、耳元に囁いた。 「ママ、とても素敵なビキニ姿だよ」 ジェイソンは、背の高いワイングラスに赤ワインを注いでわたしに渡してくれた。それをすぐに一気に飲み干し、空いたグラスを差し出して、お代わりをもらった。 ジーナは笑いながらスティーブと女の子と一緒におしゃべりをしてる。どうやら、わたしがこんな露わな格好でバスタブに入ってるのを忘れてくれたようだわ。 そうこうしてると、ジェイソンがトミーにウインクして、「ねえ、みんな。パーティをしたくない?」 と言い、近くに脱ぎ捨てられてたズボンから巻きタバコのようなものを取り出した。 「おお、いいねえ。火をつけて」 とスティーブの声。 「あんた、持っていないと言ってたと思うけど?」 とジーナが弟のジェイソンを見て言った。 「特別な機会のために取っておいたんだよ」 とジェイソンはわたしにニヤリと笑いかけながら言った。 「ああ、なるほど。いまがそれってわけ?」 ジーナは、ジェイソンが、わたしが一緒にバスタブに入ってることを言ってるのを知りながら、わざとおどけて言った。 「そうさ。でもミセス・ジョンソンがオーケーと言ってくれたらの話しだけど」 みんながいっせいにわたしを見た。 「ああ、ええ…。でも、わたしのことをミセス・ジョンソンと呼ぶのはやめてね、お願い。何だかとても年を取った気持ちになってしまうの。それにしても、みんながタバコを吸うとは知らなかったわ」 みんなはわたしを見て笑っていた。息子までも。 「ママ、これはマリファナだよ」 わたしはびっくりして、ジェイソンに近づいてマリファナをじっくり見た。 「そうしょっちゅうするわけじゃないんだけどね。特別なことがある時だけ。ケイト、あなたが僕たちと一緒になるとかといった特別な時だけ」 ジェイソンはわたしの希望を受けて、名前で呼んでくれた。
出かける支度をするのに少し時間がかかってしまった。まずは、前の日に施したお化粧やネイルを全部落とさなければならなかった。その頃までには、自分の爪もかなり伸びていたので、よっぽど長い爪をつけたいときでないなら、つけ爪は不要になっていた。逆に言えば、自分の爪なのでいちいちマニキュアを落とさなければならない。それに偽乳房を外すために接着剤の融解液も使わなければならなかった。さらに、シャワーも浴びなければならなかった。 いま着ている服は、アンジーと出会ったときに着ていた服とはずいぶん変わってしまった。今のスーツは、以前のスーツの3倍は高額な高級服だ。アンジーは僕のスーツは高級品でなければいけないと強情だったのである。シャツも高級品だったが、中に着ているランジェリーが隠れる生地に限定されていた。ネクタイも、以前のポリエステル製のネクタイではなく、シルク製になっていた。耳には以前はゴールドの鋲ピアスではなく、クリスマス・プレゼントとしてアンジーからもらったダイアモンドのピアスがついている。 ズボンの長さは5センチほど長すぎになっている。僕の靴が7センチ半のハイヒールになってるのを隠すためにそうなっている。これを履くと、アンジーがハイヒールを履いても、だいたい同じ背の高さになれるのだった。アンジーは、僕が彼女より少し背が低いことは全然気にしていなかったが、同じ背の高さになれば周りの人たちの視線を気にしなくても良くなると言っていた。 アンジーもシャワーを浴び、ディナーに向けて着替えをした。彼女は赤ワイン色のニット・ドレスを着た。裾が膝上10センチくらいまでのワンピースだった。胸元がざっくり開いたネックラインで、胸の内側のかなりの部分が見えるデザインだったし、ニットなので身体に密着し、彼女の体つきを完璧なまでに強調して見せる服だった。 首の周りにはゴールド製でハート形のロケットをぶら下げていた。そのロケットは僕からのクリスマス・プレゼントで、中には僕の写真が入っている。靴も赤ワイン色で、ヒール高7センチ半のパンプスだ。あまりにヒール部分が細いので、本当にそれを履いても折れないのだろうかと心配になりそうなほどだ。 いつものデートと同じく、この日もアンジーが車を運転し、レストランに向かった。彼女はドライブが好きなので、決して運転席を他の人に譲ったりしないのである。僕の方は、それは全然気にならない。むしろ、彼女が運転している間、ずっと彼女のことを見ていられるので好都合だと感じている。そんなことを言うと、たいていの男性なら苛立つだろうとは思うが、彼らは僕が見ている女性を見ているわけではないのだ。 僕たちが行ったレストランはアンジーのお気に入りの店だった。その店では僕たちは優名人である。というのも、この3カ月ほど、週に1回か2回はその店に食事に行っていたからである。僕は、その店にはいつもジャックの姿で現れていたので、ジャッキーは一度も行ったことがない。 入り口でコートを預けた後、アンジーは僕の腕に腕を絡ませた。そしてウェイターに連れられてテーブルへと案内された。テーブルへと歩いている間、アンジーが囁いた。 「ジャック? 席についたらドン・ペリニョンを1本オーダーして」 これには驚いた。アンジーは普通シャンパンを飲まない。シャンパンは特別な時のためのものと彼女は言っていた。それに、だしぬけにドン・ぺリニョンを注文するのではなくて、このように予告するとは。これは、何か本当に特別なことなんだろうと思った。席につき、僕はウェイターにシャンパンを注文したが、彼の方も驚いていたようだった。僕たちがシャンパンを注文したのは、これが初めてだったからである。 シャンパンが注がれ、料理の注文を終えた後、アンジーはグラスを掲げ、こう言った。 「おめでとう、ジャック! あなたは上級調査士に昇格よ!」 一瞬、呆気にとられていた。昇格の話しすら聞いていなかったのに、いきなり昇格になっていたのだから。そして、その地位に上がるということは、アンジーの元では働けないことになると思った。上級調査士は正規法律士の元で働くのであり、アンジーはまだ准法律士だったのだから。 アンジーは僕がグラスを取ろうとしないのを見て、尋ねた。 「どうしたの? 昇格、嬉しくないの?」 「あんまり。だって、そうなると、もう君のために働けなくなるから」 アンジーはあの温かみのあるまぶしい笑みを浮かべた。 「会社に、あなたは昇格を受け入れて私の元を離れるなんてことはしないでしょうと言ったの。そうしたら、私も昇格させなくてはいけないなと答えたのよ。私も今はアレン・アレン・アンド・ロジャーズの正規法律士になったの」 この知らせには驚いた。「それはすごいよ、アンジー。とても嬉しいよ」 「私も嬉しいわ。ふたり一緒にというのがとても嬉しいの。私が昇格できたのもあなたのおかげなのは明らかね」 アンジーはシャンパンを一口啜り、話しを続けた。 「どうやら、会社では最初の女性正規法律士を加える用意ができていたらしいんだけど、レスビアンは困ると考えていたようなの。私がジャックと付き合っていて、今は同居していると言ったら、会社の人は私がレスビアンではないと踏んだらしく、昇格させてもかまわないと判断したようなの。もう、分かるでしょう? あなたが私のところで働いてくれなかったら、私は正規法律士になれなかったわ」 その話し、正直、どこまで本当なのか僕には分からなかった。だけど、彼女と言い争うつもりはなかった。僕たちは、互いの成功を祝って、乾杯した。 とても楽しくディナーを食べた後、ふたりで1時間か2時間ほどダンスをした。ダンスの後、家に戻り、まるで初めてセックスの喜びを覚えた10代の若者のように愛し合った。東の空、明るくなる頃になっても、まだ僕たちは愛の行為を続けていた。そして、その後、すっかり疲れ切った僕たちはシャワーを浴びる力も果てて、そのまま意識を失い、眠ってしまった。ふたりとも、全身、汗と体液にまみれたまま。
アンドリューの話しうーむ、最悪の事態だ。 僕たちはパティオでランチを食べていた。僕はPBアンドJ( 参考)を、ディ・ディとドニーは何か葉っぱっぽいのを食べていた。うちの小さなマンチキン( 参考)どもはテニスコートで遊んでいる。ボールを打ってネットの先まで飛ばそうとしている。時々は成功しているようだ。 ドリスは、またちょっとした遠足に出かけていて不在だ。ドリスが50年くらい前から付き合ってる老婦人が町に住んでいた。彼女は未亡人で、ドリスは彼女のことを友だちだと思っている。ジャニス・エドワーズというご婦人だ。ドリスとの契約の中に旅行をさせることも含まれていたが、僕たちはドリスをひとりで旅行に送るのは良くないと感じていた。そこで、このジャニス・エドワーズさんのことを知った僕らは、彼女におカネを払って、ドリスのお伴をしてくれないかと持ちかけたのである。というわけで、このおばあちゃん二人は国じゅうを飛び回って、楽しんでいる。今回、ふたりはアリゾナに行っている。 ちょうどチョコレートミルクを啜っていた時だった。ドニーがいきなり質問をしたのだった。 「アンドリュー? 私たちの従姉妹のひとりに子供を授けるのはどうかしら? 考えてみてくれない?」 チョコレートミルクを鼻に入れてしまったことがあるだろうか? 決して楽しい経験ではないのは確かだと言える。 ドニーの質問を受けた結果から何とか立ち直った後、僕は返事をしようとした。 「ドニー、お願いだから、何か飲んでるときにそういうことを言わないでくれよ。それで? いったい何の話しなんだ?」 そこでドニーは、従妹のダニーとやらにまつわる厄介な説明をしてくれた。そして質問を繰り返したのだった。 「するつもりはある? アンドリュー」 どうして彼女たちは、しょっちゅう、愕然とするほど難しい情報を僕の方へ投げつけ続けるのだろう? 僕は、単純なことしか求めない、単純な男なのに。僕の求める単純なことは、大半、ここにいる輝かしいほど美しくセクシーな妻たちによって満たされているのに。僕はそのようなことを伝えた後、こう言った。 「僕はディ・ディに出会った後は別の女性に目もくれたことがない。君は別だよ、ドニー。もちろん、君のことも見つめてきた。でも、他の女性にはまったく興味がないんだ。もっとセックスって、どうやって? セックスに関しては、いわば、最大値に達しているんだよ。さらにセックスって、僕のスケジュールにはそんな時間はないよ」 ディアドラも話しに加わってきた。 「アンドリュー? この話のセックスはセックスのためのセックスじゃないの。妊娠のためのセックスなの。私たちも誇りに思うのよ。あなたの能力を如実に証明することになると思うから。でも、ともかくダニーは子供が欲しいだけなの。私たちがあなたを他の女と共有するなんて、いちばんつらいのは私たちなのはあなたも分かるでしょう? でも、他に方法があるかしら? あなたのような男性を他に見つけるまでは、話しを持ちかけられる人は誰もいないんじゃない?」 ドニーは今にも笑い出しそうな顔をしていた。 「『あなたの能力を如実に証明』って。うふふ…。ディ・ディはダニーは妊娠したら私たちに嫉妬するようにさせたがっているようね。でもね、アンドリュー? たぶんダニーはあなたをひと目見た時から私たちに焼きもちを焼くと思うわ」 「でも…。だけど…」 こんなことに何と言ったらいいのだろう? 「…でも、僕は他の女性とセックスをしたくないんだよ。もう、世界中で最高レベルの性生活を送ってきているんだ。これ以上やっても、後は下方レベルへと降る方向しかないんだよ」 「でもアンドリュー? あなたは下の方へ降りるの大好きだと思っていたけど? 私たちの身体の…」 「ドニー、君は正直、この件を楽しんでいるんじゃないのか? 僕を身悶えさせて喜んでいるよ。どうやったら、こんなのうまく行くのかなあ? 場所はどこ? 僕は他の女とセックスする目的でどこかに出かけるなんてお断りだからね。本気だよ。ここでないなら、ここで君たち二人がそばにいないなら、絶対にお断りだ」 ああ、失敗した。言い方を間違えてしまった。僕の意に反して、ふたりは僕に同意させたのだった。「他に申し出があっても全部捨て去る」と言ったのもまずかった。 本当に、僕はこれっぽっちもこの件に興味がなかった。心の中のいちばん奥の秘密の部分にまで潜り込んでも、僕が他の女性について何かを思うなんてことはまったくないのに。毎日、1日につき2回セックスをしているのだ。しかも、その一回一回が極度に濃厚なヤツを。確かに休ませてもらっているときはある。周期が襲ってきて、ときどき頭痛になる時だ。でもその周期も頭痛も彼女たちの方じゃなく、僕の方なのである。それなのに、これ以上、何を求めると言うんだろう?
*** チャンタルが言った言葉が耳に響いていた。 「……あなたが必要なのは時間じゃないと思うわ。あなたに必要なのは、一度みっちりセックスされること。それもできるだけ大きなペニスに。ダイアナじゃダメよ。ちゃんとした男にヤラレルことが必要……」 一度、男としての自我を完全にぬぐい去り、心から女になってみなければいけないのかもしれない…。 ……彼のことを無視できなかった。背が高く、魅力的で、ギリシャの神のような体つきをしている。彼は、私がこの店に入ってきてからずっとこっちを見続けていた。それにこちらが視線を合わせても、目を背けない、そういった視線の一つ。 少し前、私は笑顔になって、彼にウインクを送った。彼がそれを誘いと受け取ったのは明らかだった。彼が近づいてくると、ダイアナはかなり必死に彼の関心を自分に惹きつけようとしたが、彼はまったく関心を示さなかった。まっすぐに私が座るスツールに近寄ってきて、話しかけてきた。その後は連鎖反応的に…。 「さっきから迷っていたんだが…」 と彼は言葉を考えながら言いだした。「…どうしたら、君のような子をどこか…どこか二人っきりになれるところに連れ出せるんだろう? 僕はもっと君のことを知りたいと思ってるんだが…」 どうする? 逃げるなら今よ! 「というと、どんなことを?」 と私は訊いた。 彼は注意深く私のあごを親指と人差し指で押さえ、顔を近づけてきて、耳にじかに囁きかけてきた。 「君は、とても美しい唇をしている…」 と優しく私の唇の輪郭をもう一方の手の人差し指でなぞった。口紅が乱れないように注意しながら。「…君のその美しい唇で、肉汁たっぷりの美味しいソーセージを食べてもらうには、どのくらい払えば良いのか迷っているんだが…」 明瞭で、簡潔で、ポイントを押さえている。 すでに2時間近く、ダイアナがそういう要求の数々をさばいているのを聞いてきていた。彼女は法外な金額を言って、単に娼婦と遊ぶ妄想を楽しむだけで、実際にコトに及ぶつもりがない男たちを選び、排除していた。本気のプレーヤーは交渉するものであり、高めの直球にひるんだりしない。 「あなたからその話しが出てくるなんて、可笑しい。…私も、今夜はずっとソーセージ・サンドを食べたいと思っていたのよ。私、この近くに、美味しいソーセージ料理を出しているこじんまりとした静かな場所を知ってるわ。…値段は確か75ドルで」 「75ドル?」 と彼はわざと驚いた声を出した。「さぞかし美味しいんだろうな」 「あなたの名前は?」 「ダニエル」 私は息を深く吸って、乳房を見せつけるようにして胸を張り、それから意味ありげに舌舐めずりして見せた。 「本当に? ダニエル?」 呼吸が乱れているのを感じた。「…その値段の価値があると思ってるの?」 彼は改めて私の品定めをし、そしてにっこりと笑った。 「ああ、もちろん。本気でその価値があると思うよ。どこへ行けばいいのかな?」 ダイアナのおかげで、どう答えたらよいか分かっていた。 「まずはおとなしく元のテーブルに戻ること。あなたがそうしたら、すぐに私はこの店を出るわ。一緒に店を出るのを見られるのは、あまり良くないでしょう? 私が出てから10分待って、それから、隣のオフィス・ビルに来て。そこの2-17のブザーを押して、名前を告げて、リサを呼び出すの。そうしたら私がブザーであなたを中に入れるわ。忘れないで。ソーセージ・スペシャルは前金で75ドル。例外なし。分かった?」 「ああ、分かった。了解!」 ダニエルが自分のテーブルに戻って行くのを見ながら、ダイアナに、はにかんだ笑みを見せた。彼女の気持ちを読み取るのは難しかった。 「この子ったら、本当に、本当に成長が早いんだから…」 予想に反して、どこかよそよそしい声でダイアナが言った。 「…たった2時間ほど前までヨチヨチ歩きだったのに、今はもう、男と初めてのデートに行こうとしてる。私が教えたことすべて忘れずに、逞しい男の子と遊んでらっしゃい。ここの持ち主のジムが私たちが使える部屋を用意しているわ。彼はこのクラブだけでなく、このビル全体を所有しているの。前に話したように、彼に忘れずチップをあげること。彼に、ちゃんとフェアに優しく接してあげたら、彼はあなたの一番のファンになるはずよ。さあ、行ってらっしゃい。それからちゃんとコンドームをつけるのよ」 「彼にはフェラをしてあげるだけよ。本番はしないから」 「とにかくコンドームをつけた方がいいわよ」 ダイアナは強情だった。「後で私に感謝すると思うわ」
ふたりでデッキに上がり、引き戸を通って家の中に戻った。ロースト・ビーフの香りを嗅ぎながら、トリスタの母親のそばを通り過ぎた。 「トリスタ? ワインを2本持ってきて」 と彼女の母親はオーブンを開けて料理をチェックしながら言った。 「オーケー、お母さん」 とトリスタは返事し、俺の方を向いて微笑んだ。 「じゃあ、地下室のワインセラーに案内するわね」 と彼女は地下室に通じるドアを開けた。 照明のスイッチを入れ、階段を降りて行く。一緒に降りながら、トリスタの素晴らしい身体から目が離せなず、かなり困った。 「そっちは家族がくつろぐ部屋ね」 と彼女はリビング・ルームを指差した。大画面のテレビが置いてあった。 「うわー、すごいテレビだね」 60インチはありそうなテレビだった。 「お父さんはアメフトが好きなの。だから去年これを買ったのよ」 と彼女は先に進んだ。 「それで、こちらは洗濯する部屋」 と小さな部屋を指差した。洗濯機と乾燥機が置いてあった。 地下室の奥に進むにつれて暗くなっているので、俺はトリスタに身体を寄せるようにして後をついて行った。トリスタは奥のドアのドアノブを回し、引っぱった。古いドアで、開くとき、ギィーっと音が鳴った。 「ここがお父さんの仕事部屋」 顔を出して中を覗きこんだが、トリスタはすぐに閉めてしまい、その代わりに別のドアのところに俺を案内した。 そこを開けると、先には狭い通路があった。通路の壁に下がっている教会風のガラスに入ったろうそくが灯っていたが、それ以外は照明がなく、薄暗かった。 「ここを通ってワインセラーに行くのよ」 と彼女はさらに別のドアを開けた。 冷たく湿った部屋で、その中に入るとすぐにトリスタはドアを閉めた。ここも、灯りと言えば、ワイン棚の上の壁に下がってるろうそくだけ。正直、俺は驚いていた。四角い部屋のどの壁面もワイン棚になっていて、びっしりワインが並んでいる。 「ワインを痛めないように灯りはつけないの」 とトリスタは部屋の中央にある小さなテーブルへと進んだ。 「お父さんは、世界中からこのワインを取り寄せて集めているのよ」 と部屋を見回す俺を見ながら言った。 「いったい何本あるんだろう? 信じられないや」 と暗闇に目が慣れてくるのを感じながら言った。 「とても古いワインも数本あって、とても珍しいのもあるのよ」 トリスタはそう言いながら俺の後ろに近づいてきて、後ろから俺を抱きしめた。 彼女が俺の背中に顔を当てているのを感じた。両手が俺の腹の周りを擦っている。だが、「はぁー」と小さな溜息が聞こえたかと思ったら、彼女はまたも俺から離れ、引き下がった。 「私、ここから時々ワインを盗んでるの」 そう言いながらトリスタは部屋の隅にある箱のところに行った。そしてちょっと前屈みになり、中からワインを2本取り出した。それをテーブルに持ってくる。俺も一緒にテーブルに近づき、そこで彼女を抱きしめた。 「お父さんは、時々、ワインが消えてるのを全然知らないの」 と彼女はちょっと背伸びをし、俺に優しくキスをした。 「あのドアはどこに通じているの?」 と俺は部屋の奥の古いドアを指差した。 彼女は振り向いて、ちょっと見て呟いた。「教会に通じてるわ」 俺は、どういうこと? と問うような顔で彼女を見た。 「あのドアの先は地中のトンネルになっていて、礼拝堂の地下室に通じているの。レイチェルの家は、教会の反対側にあるんだけど、うちとまったく同じ作りになっているわ。だから、私がレイチェルの家に行くときは、わざわざ外に出る必要もないのよ」 と彼女は俺の方に向き直りながら言った。
_________________________________________ 「では、来週の同じ時間に」 「ありがとうございます、ベック先生」 アンジェラは、患者が部屋を出て行くのを見ながら、とてもお腹がすいているのに気がついた。だが、外の嵐はやみそうな気配がない。普通なら彼女はワーバッシュ通りにあるお気に入りの小さなベーカリーで食事を取る。だが、この天気を見て、彼女はこのビルの下の階にあるレストランで済まさなければいけないだろうなと思った。 アンジェラは、そのレストランに入った時、ランチタイムだと言うのにほとんど客がいないのを見て驚いた。この広いスペースに他の客はたったひとりだけだった。この店には来たことがなかったが、内装からすると、ある種のアジア系の料理を出すところだと思われる。10分ほど待った後、ようやく中国人風の女の子がメニューを手にやってきた。 「何名様ですか?」 と明るい声で娘は訊いた。 「あの、私だけなんです」 と、こんな広い場所でひとりだけで食事をするのはちょっとバカみたいと感じながら答えた。 「ではご案内します」 娘はアンジェラを巨大な水槽の前の席に案内した。「ご注文が決まりましたら、お知らせください。お食事の前にお茶はいかがですか?」 「お願いします」 アンジェラはメニューを眺めながら、こんなにお腹がすいてしまって困ったなあと思った。彼女は、これほど空腹になってしまうといつも食べ過ぎてしまうのである。午後の診察時間に、満腹で苦しみながら患者の話しを聞くのだけは避けたかった。 どうやらこの店は想像した通り、アジア料理全般を扱う店らしく、メニューの写真が信じられるなら、酢豚風鶏肉炒め( 参考)が特に美味しそうに見えた。 ウェイトレスが戻ってくるのを待ちながら、彼女は、テーブル二つ向こうにいる男性に目をやった。その人も東洋人で、書類の山に覆いかぶさるようにして何かをしていた。染み一つない黒のスーツに身を包んでいるが、特に印象深いのは、彼の髪の長さだった。背中の半分までの長い髪で、ゆったりとしたポニーテールにまとめている。それに短い髭を生やしているのも、アジア系の人にしては珍しかった。 アンジェラは気づかぬうちに長いこと彼をじろじろ見ていたに違いない。視線を感じたのか、男が突然、彼女の方を振り向いた。そしてアンジェラはその男の瞳が青いのを見てびっくりした。それにもまして彼女が驚いたのは、彼の顔に、彼女のことをすでに知ってたような表情が浮かんでいたことだった。 「ご注文はお決まりですか?」 「は?」 アンジェラは青い目の男を見るのに忙しすぎて、ウェイトレスが来ていたことに気づかなかった。 「あっ、えっと、酢豚風鶏肉炒めをお願いします」 「かしこまりました」 ウェイトレスはメニューを取り、厨房へと姿を消した。 アンジェラが男のいた席に目を戻すと、そこには書類の山はあるものの、男の姿は消えていた。「え? いったい…」 「同席しても良いですか?」 アンジェラは望む以上に大きな悲鳴を上げていたかもしれない。あの男性が突然、自分のテーブルのすぐ脇に姿を現したからである。 「ごめんなさい。怖がらせるつもりはなかったのですが」 これがカラーコンタクトだとしたら、是非ともこの人の検眼師の電話番号を教えてほしいと彼女は思った。とても本物らしく見える。レンズの輪の線すら見えない。それにちょっと灰色のポツポツも混じっている。薄青の色が絶妙。こんな薄青の目を見るとしたら、インの目か、ある種の犬の目でしか見られない。 「大丈夫ですか?」 アンジェラが茫然と見つめていた瞳の持ち主が、問うように彼女を見つめた。 ぱちくりと数回まばたきし、アンジェラは自分が男性の瞳を見つめていたことに気がついた。 「まあ、私、ごめんなさい。ええ、大丈夫です」 彼がまだ彼女の返事を待っていることに気づき、アンジェラは反対側の席へと手招きした。 「どうぞ」 男性が滑らかに椅子に座るのを見ながら、何を言ってよいか分からず、彼女はたわいない話しを始めた。 「こことても広いですね。でも、どうしてこんなにお客さんがいないのかしら? ここの料理、美味しくないのかしら?」 「大丈夫ですよ」 と男は言った。 日本人だわと彼女は思った。英語は欠点なしだけど、訛りがあった。でも、ゴージャスという言葉が声についても使えるとしてだけど、彼の声はゴージャスだった。深く、絹のような声であると同時にザラザラした感じもある。彼の瞳と同じく茫然とさせるところがあった。 「いまは休業してるのでお客さんがいないのです」 アンジェラは男が見ている方向に目を向けた、そしてそこに「クローズド」のサインが出ているのを見た。 「じゃあ、どうしてあの子は私を席につけたのかしら? それにあなたもどうして?」 男は唇の角を少し上げて、小さく微笑んだ。「私が彼女にそうするように言ったからです。私はこの店の店主なのです」 困惑と驚きを同時に感じつつ、アンジェラは衝動的に言った。「なぜ、彼女にそうするように言ったの?」 「あなたがお腹がすいているように見えたから」 「私が?」 アンジェラは自分がお腹をすかして哀れな姿を見せていたのを想像し、どういうわけか可笑しくなり、笑い出した。 「笑い顔が素敵ですね」 と男は彼女をほめた。 その言葉に驚いてアンジェラは何と返事してよいか分からず、ただ「ありがとう」としか言えなかった。
「Four 4人」 by deirdre, 4/6/96 「一緒に来て! あなたに見せなくちゃいけないんだから!」 ペグは、ラリーと私が玄関を入るなり、ペグがそう言って私の腕を引っぱった。ペグはラリーに向けて言ったのではなかった。私にだけ。ラリーの方に顔を向けたけど、諦めて、ペグに引っぱられるまま、ついて行った。 家の中、他のご主人たちは誰もいなかった。ラリーをシャノンとデニスのところに置き去りにしてしまって、一瞬、罪悪感を感じた。ラリーは、そもそも来たくなかったんだから。私には分かる。まあ、でも、ラリーも少なくともシャノンを見て楽しむことでしょう。男なら、たいてい、そう。 「何なの?」 ペグにキッチンへと連れられ、そこを通り過ぎ、地下室へ通じる階段を降りながら訊いた。 シャノンの家でのディナー。ある土曜日、私たち4人でランチに行った時、このアイデアを思いついたのだった。引きずり出す良い機会…。つまり4人それぞれ、自分の夫をディナーに連れ出せるし、シャノンも料理の腕前を披露できる。シャノンの家には来たのは、それまで一度だけだったけど、今でも彼女の家のことは全部覚えている。シャノンは装飾について良いセンスを持っている。 地下室に降り、角を曲がった。私は息をのんだ。目の前には、裸の男性が3人! 3人とも身体を縛られ、目隠しと猿轡をされて、立っていた。みんなのご主人たちだった。 「どう思う?」 ペグが私の耳に囁きかけた。 私はただ見ているだけ。3人とも立っているけど、よく見ると、天井から伸びたロープで首を結えられている。だから座れないのだし、あまり動くことすらできない。 「ペグ? いったい何が起きてるの?」 私もひそひそ声で訊いた。頭が混乱していたし、ショックも受けていた。 「最高じゃない?」 彼女もひそひそ声で答えた。 最高って? それって、この状況を表す言葉なの? 私はどうしたらいいのだろう? この光景は、シャノンの家で見るとは絶対に想像できない光景だった。ディナー・パーティに来て、これを目の当たりにするなんて。これが何だか分からないけど。ラリーはこれをどう思うかしら? 「ペグ? こんなの変よ。ご主人たち大丈夫なの?」 と小声で訊いた。 「もちろん! みんな喜んでしてるの」 それが返ってきた答え。もう一度、ご主人たちを見た。ただ立っているだけ。 「行きましょう?」 とペグは、私を階上へ導きながら言った。 ひょっとしてこの男の人たちに私の声が聞こえてるかもしれないと思って、なぜか恥ずかしくなった。私は声を小さくして言った。 「ペグ、こんなの変すぎるわ。私たち帰るから」 「え、なんで? 来たばかりじゃないの。みんなでディナーを食べるんでしょう?」 「ラリーはこんなの嫌がるはず!」 でも、本当のところラリーはどう思うんだろう? 彼がどう思うか私には分からなかった。でも、私は不快感を感じていた。私の友だちもそのご主人たちも完全に狂っていたなんて。そういうふうに、その時の私は思っていた。 「あら、私はそうは思わないわ。男ってこの手のこと大好きなのよ」 この手のことって、何のことを言ってるんだろう? 3組の夫婦がいて、そのご主人たちが三人とも裸で拘束されている。そんなところに来ることをラリーが気に入る? あのご主人たちもこれを喜んでいる? 確かに、あの人たちはそうなのかもしれない。でなければ、どうして自ら進んであんな状況になっているのか説明がつかないもの。 「見てみて!」 とペグが言った。依然として小声で。 彼女はリビングルームのドアのところに私を連れて行った。私は、目の前の光景を見て、立ち止った。 シャノンとラリーが互いに見つめあっている。シャロンはテーブルの上、真ん中に座って脚を広げていた。かかとはテーブルの上、両腕の肘を膝に乗せている。タイトなズボンを履いていた。彼女の長く細い脚や、しなやかで鍛えられたボディの魅力を強調するような服装。 シャノンはまっすぐにラリーを見つめていた。とても真剣な顔をして。 そしてラリーも部屋の真ん中に立ったまま、彼女をまっすぐに見つめ返している。私たちが視界に入っても、どちらもぴくりとも動かなかった。デニスは、部屋の向こうの、私たちの反対側の壁に寄り掛かってふたりを見ていた。
ジーナに連れられて二階の寝室に上がった。そこには大きなベッドとドレッサーがあった。ジーナはベッドにタオルを放り投げて、そのベッドの方を指差した。 「そこに座ってくつろいでいて、私、ママのビキニを探してくるから」 ベッドに腰を降ろして、引き出しの中を探すジーナの姿を眺めた。彼女はわたしに背中を向けているから、とっても形の良いお尻がよく見える。紐ビキニの紐がお尻の割れ目に食い込んでいて、ほとんどお尻が丸見えになっているようなもの。 ふと、ジーナの姿を見ながらものすごく興奮している自分に気がついて驚いてしまった。何と言うか、いままで女の人との体験は一度だけだったし、その時のことはすごく鮮明に覚えているんだけど、あれは試しの体験みたいなものだと思っていた。もう一度だけ試してみて、本当にゾクゾクすることなのか確かめてみたい、と。 ジーナはちょっとふり返って見て、わたしが見ているのに気づくと、にっこりと笑った。そして、頭を元に戻すと、今度は両膝をまっすぐに伸ばしたまま、一番下の引き出しに手をかけた。 その時のジーナのお尻を見て、思わず息を飲んでしまった。お尻の穴をやっと隠してる程度の細い紐ビキニ。お尻の穴のまわりのちょっとだけ色が濃くなっている部分の肌まで見えている。その紐の奥、三角形の布切れにつながっているけど、それは彼女のあそこだけをかろうじて覆ってるだけの小さな布切れ。若い女性の大切な部分を覆ってはいるけど、でも、あそこの左右の唇の形が、はっきり浮き彫りになって見えている。 この若い娘を見ているうちに、わたしもあそこに火がついてしまった。ジーナのあそこを食べるイメージが頭の中にいっぱいに膨らむ。あの官能的な肉厚の唇を左右に広げて、舌を奥深くに入れたい…。今すぐジーナのところに駆け寄って、抱きしめたくなる衝動をかろうじて抑えていた。 「あっ、あったわ。どうやら、これね」 ジーナは身体を起こして、白いビキニを持って掲げて見せた。それからゆっくりとわたしの方に歩いてきて、目の前に広げて見せた。 「うーん、これを着せる前に服を脱いでくれないと…」 お口の中がカラカラになっていて、ビキニを着るには服を脱がなくてはいけないことを忘れていた。多分、わたしは戸惑った顔をしていたのだと思う。ジーナはわたしを見て、また笑っていたから。まるで、ジーナが母親で、わたしが初めてビキニを着る女の子みたい。 「その上にビキニを着るつもり?」 とジーナが言った。 あら、やだ。本当にバカみたいに振舞っていた。わたしはジーナの母親と同じ年なのに、まるで少女みたいに扱われてるなんて! 立ち上がって、ジーナからビキニを受け取った。そしてスカートに手をかけたけど、ちょっと止まって、「あっちを向いていてくれる?」 とためらいがちに言った。 「どうして? ここには私たちだけなのに?」 また、わたしを見て笑ってる。あの青い瞳が笑ってる。目で笑いながら、わたしがスカートをめくり上げるのを待っている。ああ、下着を履いていないのに。それがジーナにばれてしまうわ…。 でも、それがどうだって言うの? 最近は下着を履かない女性がたくさんいるんだから。多分、ジーナ自身も普段は下着をつけていないんじゃないかしら。 わたしはスカートの裾を持ち上げて、いったん腰の周りで丸め、それからするりと足元へ降ろした。無毛に剃ったわたしのあそこ、見たのね? ジーナが小さく息を飲むのが聞こえた。 それから、依然としてジーナの方を真正面に見ながら、シャツのボタンを外して、シャツを脱いだ。わたしはジーナの前で素っ裸になっていた。身につけているものと言ったら、足に履いたハイヒールだけ。 ジーナを見ると、わたしの身体をじっと見つめている。わたしの張りのある大きな乳房に視線を向けて、それから下に降りて、お腹、そしてあそこに視線が這って行く。 彼女に見られながら、身体が震えてしまった。何だか、まるでジーナの視線で肌を触られているみたいだったから。身体じゅうのゾクゾクした興奮が脚の間のあそこに集結していって、あそこが濡れて行くのを感じる。 顔が火照っていたけど、何とかして落ち着いたふりをし、平然とビキニを手にとって、下の方から先に履いた。 ちょっとすごくきつい感じ。ジーナの水着と同じで、あそこがやっと隠れるくらい小さい。素早くビキニのトップも身につけ、鏡を見た。 「ああ、いやだわ。こんな格好で下に降りていけない」 ジーナのお母さんはわたしより身体が小さくて、そんなに曲線も派手じゃなかったのを思い出した。身体のどの部分もすっかり露出している。股間のあそこの部分と、乳首とその周りの部分がちょっと隠れてるだけ。 ハイヒールを履いているので、脚がとても長く見える…とてもセクシー。腰も露出していて、太ももの内側の部分、ラビアへ通じる小さなしわも見えている。隠れているのはあそこの唇だけ。 大きな胸の方もほぼ丸見え。乳首と乳輪とその周辺が隠れているだけ。後ろを振り向いて見ると、お尻が露わになっていて、お尻の頬の間にビキニの紐が食い込んでいる。 「あら、とっても素敵よ。ほんと綺麗。ケイト? あなた、下にいるみんなをノックダウンしてしまうかもよ」 ジーナは鏡に映るわたしの姿をうっとりと眺めていた。
僕が気づく前にアンジーは部屋の中にいた。 「ねえ、何を持ってるの?」 彼女はベッド脇に立っていて僕を見下ろしていた。僕はすぐに雑誌を閉じ、できるだけ嫌そうな声を出して言った。 「これが君の調教マニュアルのようだね」 彼女が雑誌の表紙を見た瞬間の目の表情から、彼女が僕が読んでいた雑誌が何であるか分かったようだった。 たいていの人なら、そんな場合、その雑誌にどんなことが書かれてるか知らなかったと言い張るだろうし、勝手に個人の持ち物を盗み見した僕を責める人もいるかもしれない。だが、アンジーはそういう普通の人とは違った。落ち着き払ってベッドに腰掛け、その雑誌を手に取った。 アンジーがどんな答えをしようかと考えているのが見て取れた。1分ほど黙っていた後、彼女は口を開いた。 「これが見つかっちゃって、残念だわ。これを買ったその日のうちに捨てておくべきだったわね…」 と言い、ベッドにあった他の雑誌を指差して、続けた。「…これは、そちらにある雑誌と同じようなものだと思っていたのよ。あなたの女装関係の参考になるものだと。セックス雑誌だったとは知らなかったの」 アンジーの言う理屈は筋が通っているように聞こえたし、正直言って、僕も彼女を信じたかった。僕が愛する女性が、僕にこんなことをするなんて想像すらできないから。 「つまり、君は、僕にこういうことはしたくないと思っていると。そうだよね?」 僕は彼女がその通りよと言うのを期待して訊いた。 「ええ、もちろんよ。あなたにそういうことは絶対にしないわ」 アンジーはそう言って、雑誌を開き、一枚の写真を指差した。その写真では、シシーがロープで縛られ、猿轡をされて、ひざまずいていた。女王様の女性がそばに仁王立ちして、乗馬鞭を手に彼の尻を叩くポーズを取っている。その男性の尻頬に赤い筋が幾本もあることから、彼がすでに数回鞭打ちされているのが分かる。 「ねえ見て…」とアンジーはそのシシーを指差して言った。「私があなたにこんなことをしたことがある?」 もちろん僕は首を左右に振った。 「もし私がこういう行為が好きだったら、この3カ月の間に一度くらい試みたはずだと思わない? あなたのために選んで、あなたのために買ってあげた女装用の服で、何かあなたの気分を害したことあったかしら?」 再び僕は首を左右に振った。「もちろん、そんなことは一度もなかった。君が僕のためにしてくれてるのを知って、僕はとても運がいいと思っている。君も楽しんでいるのは知っていたけど、そもそも、もしも僕が拒んだなら、君もこういうことを始めなかったと思う」 よく冷静になって考えると、アンジーが言うことが正しいと思えるようになっていた。 「アンジー、ごめんなさい。多分、勝手に想像をたくましくしてしまったみたいだ。君は僕にこういうことをしたことがなかったし、今までしようと思ったらいつでもできたはず。それなのにしなかったというのも分かった。疑ったりして、ごめん」 「私こそ、こんなもの取っておいててごめんなさい。今夜、家に戻ってきた時に、暖炉で全部燃やしちゃうわね」 とアンジーは僕を抱きしめた。 「これからどこに出かけるの?」 「あなたとディナーに出かけようと思ってるの。とっても良いニュースがあるのよ。外食して一緒にお祝いしたいと思って」 どんなニュースかと訊いたが、彼女は答えようとしなかった。「どこに行くのかなあ。それに、どんな服を着て行くべきなんだろう?」 自分の衣類を選ぶときになっても、どんな服を着て行くべきか、アンジーから答えをもらっていなかった。だが、彼女は、僕の迷いを知っていたようだった。つまり、ジャックとして出かけるのか、ジャッキーとして出かけるのか、という迷いである。確かにアンジーはいつも、それは僕自身が決めることと言っているが、それでも前もって彼女自身の好みを伝えることが多い。 「あなたも知っての通り、私はジャックと一緒にいても、ジャッキーと一緒にいても、どちらでも幸せなの。でも、今夜はできたらジャックにそばにいてほしいわ。このニュースは彼にも関係のあることだから」 と彼女は僕の頬にキスをした。
私は娘たちがオーバーワークになるんじゃないかと心配しているのに、アンドリューは、娘たちにあるルールを厳格に従わせている。それは、子供たちが何かに飽き始めたら、すぐにやめさせること。一瞬たりとも退屈な時間は許さないというルール。飽きて退屈になったら、遊びに行くなり、何なり、好きなことをしてよいというルール。 アンドリューは工事の人を呼んで、家の裏手にハーツルーのテニスコート( 参考)を作らせた。さらに水泳用のプールも。娘たちが欲するだけ、テニスや水泳のレッスンを受けさせたり、あるいは単にコートで遊ばせたり、プールで水遊びをさせている。あるいは、ジャングルジムやブランコで遊ばせたり、パソコンをいじらせたり。 パソコンに関しては、アンドリューはアダルトサイトへのアクセスをすべてブロックしていたが、エマのプログラミングの能力を目の当たりにし、ブロッキングの効果については、悲観的だった。彼は、ひたすらエマが興味を持たないでいてほしいと願っている。でも、エマは、まさにそのブロッキングの仕組みにこそ闘志を抱くだろう。ただ、エマは、いったんブロッキングを解除することに成功すれば、すぐに興味を失い、トラブルの種を求めて別のところに移すはずだ。 アンドリュー自身も自分で娘たちにレッスンをしている。起きている間ずっと、娘たちにプログラミングを教えているか、一緒にいるかしている。まあ、彼が、ディ・ディと私を愛することにもかなりの時間を割いてくれていることも、認めるけど。娘たちと一緒にいる時間、私たちと愛し合っている時間、それに食事の時間を加えれば、アンドリューの生活はだいたいそれだけで終わる日々だ。彼は全然気にしていない様子だ。彼が必要としていることはかなり単純なのである。 昨年、私たちはダニーという従妹から手紙をもらった。私たちが(というかディアドラとアンドリューが)結婚しましたという案内を受け取ったと書いていた。それから、少し経って、私たちに子供が生まれましたとの連絡を受け取ったと書いていた。 ダニーが、2足す2がいくつになるか数えるのに時間はかからなかった。彼女は私たちが結婚しなければいけなかった理由は理解したし、私とディアドラが同時に出産した事実から、私たちが同じ男性を共有していることも理解したらしい。加えて、アンドリューが妊娠させる能力があることも。 私たちは、子供のころから、ダニーと彼女の妹のドリーのことを知っていた。ふたりとも私たちと2歳しか違わない。彼女たちの方が2歳年下。どちらも何年も前に結婚している。ドリーには双子が生まれたが、ダニーは子供がいない。そのダニーが何を求めているかを知っても、私は驚かなかったような気がする。 ダニーはアンドリューと1発したいと思っているのだ。下品な言い方だけど、他にどんな言い方ができるだろう? 彼女は子供が欲しいのだ。ダニーは夫のアーティと何度も何度も試みたのだが、全然、子供ができなかった。 ええ、もちろん、現代は、妊娠を誘発する方法がいくつも開発されていることは知っている。だが、そのいずれも、ダニーには効果を発揮しなかったようだ(ダニーばかりでなく、私たちが情報を集めることができた他の双子娘たちのいずれについても、それは同じだった)。ダニーは、正しい手助けがなければ、今後も子供がいないままであり続けるだろう。その正しい手助けとは、他ならぬ、アンドリューによる助けだ。 私はディ・ディにその手紙を見せた。従妹が、私たちに夫を貸してくれと頼んでいる。私たちの夫に他の女性、つまりダニーと行為をするのを許して欲しいと。ダニーは、アンドリューの名前は知っているが、その他のことは全然知らない。それでもベッドの相手として彼を望んでいる。ダニーの視点からすると、アンドリューは双子を妊娠させることができるという、それだけの点で有資格になっているのだ。 こういうことがあるかもしれないと前もって気づいておくべきだった。以前、彼に国じゅうの双子娘のことを初めて話した時、彼が、まさにこのことをジョークまじりに言っていたのを思い出す。彼の賢さには舌を巻く。事実関係をざっと知っただけで、この可能性を先見できていたのだから。 ディアドラも私も聖人ではない。夫との性的楽しみを他の女性と分かち合うなんてことは、私たちにとって楽しいことではない。とはいえ、私たちは、この人類向上機構IAMを運営している人間でもある。次世代の人類をつくることが私たちの目標になっているのだ。そして、現時点では、その目標に沿って次世代を増やす能力のある男性は、アンドリューしか知らないのである。 自分がシャイロックになった気分だった。自分の娘を取るか、仕事を取るか? 愛するアンドリューは、この使命に対してどんな反応をするだろう? 喜んで? それとも嫌々ながら? アンドリューがよく使う言い方をすれば、私の理論では、彼は断るはず。でも、もし、私もディ・ディも強引に勧めたら? 私たちが勧めたら、彼は断ることはできないはず。彼は私たちを愛してくれている。思うに、その彼の愛の真価を信ずる時が来たのだと思う。
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